医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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J-ADNIについて紹介しながら、早期診断の現状と問題点を指摘するつもりであった。マスコミが軽躁状態なのではないかと心配になる、認知症現場を楽観的に報道して、これを放置すると正しい認知症対策がわが国で進まないのではないかと危惧して老骨にムチ打って書き進めている。揚げ足を取るなどケチな意図はない。
26,27日の2日間にわたり朝日新聞の一面で26日「疑惑データ隠蔽工作か アルツハイマー研究J―ADNI」、27日「代表教授が口止めメール データ書き換え認識」との見出しでJ-ADNI研究に問題ありとの大掛かりな報道があった。
朝日新聞は今年のはじめころからJ-ADNIのデータ改ざん疑惑を報道していた。1 データ改ざん疑惑、2 基準外被験者の参加、3 被験者の不利益、4 製薬会社の利益相反がありとこの研究の問題点を整理して報道した。どうやらデータ検証の責任者である杉下守弘元東大教授が実名で告発したことを取材して報じたらしい。
その後この事件がどのように推移したかについて、私の耳には何も入らなかった。ボスの首に鈴をつけるのは難しいだろうくらいに思っていた。
国は改ざん疑惑を調査する間、証拠となる被験者データを保全するよう要請したが、研究代表責任者も製薬会社から派遣された事務局員も要請を無視して、患者データを書き換えるのに集中していたらしい。疑惑後は動きがなかったのではなく、当事者が悪あがきを繰り返していたらしいのである。脇の甘い要請である。大の大人が何のために子供じみた振舞いに及んだのか?アカデミックの立場の人と製薬会社の人が同じ方向を向いて頑張った。反対の立場でこそこそとしたのならまだ救いがあるが。
これらの一連の動きが大新聞の記者のジャーナリズム魂?に火をつけて今回の報道になったらしい。いや医療マフィアに丸め込まれている記者もいるから注意深い読解が必要である。
朝日新聞は当初この報道の際「臨床研究疑惑 成長勢力の土台を見直せ」という社説まで載せてこの問題点の深刻さを指摘していた。
高血圧治療薬ディオパンが、降圧以外の臓器保護作用ありとの5大学病院の治験結果はすべてデータの書き換えによって得られた根拠のない臨床研究であったことが世間では話題になっていたこともあって、編集諸氏はディオパン事件にかこつけてJ-ADNI事件を論じたのであろう。
曰く「・・・・・国際的には複数の国による共同臨床研究が増えているが、日本はかやの外だ。データの信頼性や実施体制の不備が不安視されているためと言われている。
成果を急いでデータを変えるような行為があるとすれば、まともな新薬も生まれず、研究資源は無為に消えるだけだ。抜本改革に乗り出さなければならない」と論じた。
私に言わせれば、「成果を急いで」のような純粋な動機で、次々と臨床研究の不祥事が起こるのではない。
根は深いと言いたいが、医療の落とし穴のところでも論じておいたが、患者のため―だれがその動機に異議を唱えることができるだろうかーとの美しい錦の御旗に隠れて、何のことはない、患者を食い物にして金儲けをしようと、語るに落ちる動機で次々と不祥事が生み出されているだけである。立派な社会人にあるまじき、見苦しい振舞いの背景こそが一番議論されるべきであろう。
今回の不祥事の一端を担っているJ-ADNIのデータの事務局である「バイオテクノロジー開発技術研究組合」の理事長であるエーザイの社長内藤晴夫氏はエーザイのホームページで、
「・・・・・・・・・・日本国内おいては、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」に関して、いまだ医療の場にお導きできていない約200万人の認知症患者様とそのご家族に早期診断・早期治療の大切さを訴えるなど、これまでの豊富な知識と経験を活かし、力を緩めることなく取り組んでおります。・・・・」
データの書き換えを指示していたエーザイの出向者とエーザイの社長との関係はどうなっているのであろうか。豊富な知識と経験をねつ造にいかされては、患者は浮かばれない。ガバナンスが悪いのか。いや国家projectに送り込まれた優秀な社員である。データ改ざんが癖なのかもしれない。
アリセプトの服用の適応患者が200万人いると耳打ちする認知症専門医がいるのであろう。見るべき効果の小さい薬のマーケットもビッグである。
難病に苦しむ患者の弱みに付け込んで、医療界がどのようなロジックで動くかを知っておくことは、わが国に患者主体の望ましい医療を作り上げるために必須であろう。チーム医療も患者主体の医療も、私の見立てでは、日本はかなり遅れている。
言っておこうと思ったことがわからなくなってきた。医療と製薬業界は多くの場合伏魔殿として機能している。
いや早期診断が現時点で患者にとって福音にならないことを書かねばならない。

by rr4546 | 2014-05-29 21:02 | 医療関係 | Comments(0)
J-ADNIはAlzheimer(AD)型認知症の早期の診断を確立するために国を挙げて取り組んでいるprojectである。いや私はとんだ誤解をしていた。結論は後述。
現在最初の段階が終わり、MCI(軽度認知障害)よりも前段階のpreclinical ADも対象に含めたJ-ADNI2が開始されている(岩坪威:J-ADNI研究とアルツハイマー病の超早期治療、日老医誌 49:300,2012)。
2008年から始められたJ-ADNIには早期AD患者152名、健忘型MCI 239名、健常者154名が被験者として登録され、計545名の脳容積をMRI、脳機能をPET(FDG-PETできればアミロイドPET)、脳脊髄液中のアミロイドβ量、タウ量、アポEε4遺伝子型そして各種の認知機能テストや日常生活活動を半年ごとに約3年間追跡調査された。今年の秋最終の解析結果が報告され、わが国のADの早期診断が示されることになっていると私は勝手に思っていた。そんな時に指摘されたのが、改ざんや不適切な患者のエントリー疑惑である。
J-ADNIの研究結果が透明性をもって詳細に報告されていないのに、次の研究を急いで進める。何を急いでいるのであろうか。
先行して行われた米国のADNIはすべての臨床データと検査結果、画像データは匿名化が施されたのち、ウエブサイト上に公表されている。エントリーすれば誰でもアクセス可能であるのに比較して、わが国の臨床データはJ-ADNIの事務局に保管されていて公開されていないらしい。
あらぬ噂を立てられぬよう、データの公開が必須であろう。
公開もされていないデータにねつ造や不正があると情報誌を頼りに現段階で、私ごときが論ずることは僭越である。当事者は当たり前であるがねつ造や不正を認めていない。
ただ漏れ聞いたデータはすでに米国で明らかにされたように、大体アミロイドβ仮説によって予測できるバイオマーカーの変化と脳の画像変化の経時的推移を示すだけである。
アミロイドβが蓄積し引き続き海馬が萎縮し始める。さらに脳血流低下が起こり、認知機能や日常生活機能が低下する。髄液のタウ蛋白も徐々に上昇する。臨床的には正常から、初期のMCIさらに健忘型MCIそして認知障害へと進行する。バイオマーカーがどの程度変化すればMCIで、これ以上上昇したら認知症と診断していいというカットオフ値ははっきしない。検者の主観で異常か正常かが容易に判定できそうな代物である(石井健二 画像診断(MRI,SPECT,PET)日内雑誌  100:2116,2011)。
現在行われているADの先導的研究はADを臨床的に診断するための意義がない。いやもともとADNIは認知症の臨床診断に役立つために進められているのではなく、将来開発されるであろうADの根治治療薬の効果判定を行うために産学官で強力に進められているのである。
ADNIは早期診断のためではなく、ADの根治治療薬の薬効判定をするために行われていた。
ただ漏れ聞いたところでは、4人に一人の健常高齢者で脳にアミロイドが沈着していることが明らかにされた。米国の研究でもアミロイドPETで同様の成績が示され、アミロイド沈着が認められないMCIの17%近くがADを発症しているという成績も得られている。
私のようなぼんくらがこれらのデータを素直に解釈すると、ADがアミロイドβの沈着によって引き起こされるという仮説すら信じられなくなる。
岩坪博士がJ-ADNI研究を紹介するときに、早期診断ではなく、ADの超早期治療と謳っていることがやっと理解できた。しかしである・・・・・
続く

by rr4546 | 2014-05-23 00:14 | 医療関係 | Comments(0)
Alzheimer型認知症は脳の中で病理学的異常が出現してから、臨床的に認知症と診断されるまでには10年とも20年とも言われる長い時間が必要であると考えられている。
発病の経過からいえば、最終ステージでの対応でしかない現在の認知症治療を、早期に開始して認知症の克服に取り組むことが、患者のみならず医療関係者から強く望まれていた。
そして早期診断そして早期治療という錦の御旗のもとで、早期診断を確立する研究が国(厚労省、経産省―医療に関することにもかかわらず経産省が入っていることに注意されたい)や製薬会社(企業が入っていることにも注意されたい)の支援でわが国でも2007年から進められていた。その一つが今回改ざんを指摘されているJ-ADNI研究である。
J-ADNI研究統括責任者が内科学会、老年学会あるいは認知症学会で早期診断に有用なデータが積み上げられている旨の講演や総説論文を書いていたので、早期診断に懐疑的な私もそれなりに期待していた。現在はJ-ADNI研究成果の上にJ-ADNI2という新しい研究が進められている。J-ADNI研究で得られた成果の上に、さらに研究を発展させようとの試みだと思っていた。
残念なことに、難病克服という高邁な目標をもって始まった国家projectでマスコミ報道のように多くの改ざんが行われていたらしい。詳細は研究当事者でないので知らない。
改ざんでかなり誤診が紛れ込む可能性の高い早期診断をより精度と特異性の高いものにしようとしたのか、発症の危険性がほとんどない症例を早期のAlzheimerと診断して、抗認知症薬の治験の際に偽った有効性を出すことに有利に取り計ろうとしたのか。
現在の認知症医療現場をみると、患者にメリットがあるというよりは、一般医家が安易に認知症と診断する知識が垂れ流されたり、かなりの進行遅延効果があるかの如くの専門医の解説ばかりが幅を利かせて、安易な診断が行われていたり、抗認知症薬の効果判定がないがしろにされたり、意外に多い副作用が見落とされている。現在の認知症治療は患者にとってあまり恩恵があるように思われない。患者を治療するというよりは、食い物にしているほうが勝っている感じである。
早期診断の共同研究者ではないので、どのような意図で改ざんが行われたかについて詳細は知らない。医師向けの情報誌から改ざんの二三を抜粋して、何のために改ざんが行われたかについて考えてみたい。

by rr4546 | 2014-05-08 19:56 | 医療関係 | Comments(0)
脳出血や脳梗塞は血管障害が起こると同時に、障害された部位の神経脱落症状が出現する。それに反して認知症の場合は、認知障害を招来する分子レベルでの異常が脳細胞を傷害しはじめてからかなりの時(10年とも20年ともいわれる)が経ってから臨床症状が出現してくると考えられている。こういう言葉が妥当かどうか自信がないが、Alzheimerは発症から臨床症状が認められるまでの潜伏期間は大層長い。
現在のAlzheimer治療はかなり手遅れの時点で開始されていると考えられている。その上現在使われている4種類には根治効果はなく、進行を緩徐にするとわかったようでわからないような効能の下で患者に投与されている。
これらの薬は広く臨床の現場で使われているが、患者を実際見ている立場からすると、副作用が多いー多くは見落とされているー上に、効いていると思う症例でも、患者の生活障害が改善するのではなくて、何か無意味な多弁、多動そして取り繕いばかりが目立つようになり、不自然な振る舞いが増えている印象がある。
いや大部分の症例は効いているのか効いていないのか、全く手ごたえが感じられない。そのために主治医も患者家族も、厳密な評価なしで、進行が緩徐になると信じて投薬が続けられる。
面白い臨床研究を紹介しておきたい。
わが国では中程度から重度の進行を緩徐にするとして広く使われているメマリーは、わが国の研究(北村伸ほか:メマリーの中程度および高度アルツハイマー型認知症に対する長期投与の忍容性並びに有効性の検討。日老医誌 51:74-84,2014)では、認知機能の悪化を驚くほど抑制することが確認できた報告された。メマリーをAlzheimerの中程度から重度の症例につかえとの研究結果である。
一方同時期に行われた米国の研究(Dysken etal. Effect of Vitamin E and Memanntine on functional decline in Alzheimer disease. The TEAM-AD VA cooperative randomized trial. JAMA 311:33-44,2014)では、軽度あるいは中程度での症例でメマリーの進行抑制効果は全く認められない。一方Vit Eに軽度の進行抑制を認めたと報告された。
日本と米国のAlzheimer患者の悪化する機序が違うのかもしれない。
JAMAは基礎研究の最前線の研究を掲載するとすべての科学者が信頼しているNatureと同じように、臨床研究分野では世界中の臨床家が参考にする権威ある臨床雑誌である。われわれの間では評価が高い。
余談だが北村伸氏ほか共同研究者あるいは日老誌の編集者は、自分たちの出した結論を示して、Dysken氏らのメマリーが中程度の症例に対して進行抑制効果がないとの研究結果はねつ造された可能性があると抗議するべきであろう。ただDysken氏等の研究成果を支持する、他の臨床研究を2,3年前外国雑誌で見たことがある。
われわれしがない臨床医はメマリーの効果について、どちらの研究成果を信頼するべきか右往左往するばかりである。これらの矛盾したデータが出されるのは認知症の臨床症状の進行の程度を客観的にとらえることの難しさを示している。
国民病となることが予測されているAlzheimerに対して、あるところでやると効果があり、別なところでやると効果がないなどの臨床研究がある薬を使って治療するのはいかにも患者に面目ない。しかしこういう大切なことが真面目に議論されない。私が研究当事者であれば、自分が得たデータと異なった報告をする同業者に対して質問状くらいが出すが。
現在の認知症医療現場を知っているものは、症状修飾薬のような薬ではなく、根治薬を使ってAlzheimer診療を行いたいと願う。
根治薬は脳細胞が死滅してからでは、効果を期待できないかもしれない。そこで早期診断、いや超早期診断の試みが世界中でしのぎを削って進められているのである。早期に診断して根治を達成したい。
残念ながら現時点では、アミロイドβ産生抑制、凝集抑制、排出・除去を目的とした根治治療薬はどの薬も臨床効果が認められていない。
書いていて何が何だか分からなくなる。嗚呼!

by rr4546 | 2014-05-01 15:27 | 医療関係 | Comments(1)