医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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超早期治療のために、アルツハイマーの早期診断法の確立が欧米先進諸国で試みられている。わが国でもそのためのJ-ADNI大規模臨床研究が進行中であることは書いた。
しかし前回、確定診断もかなり曖昧で、早期診断を確立する前に、アルツハイマーの正しい診断基準を決めなければならないことを述べた。誤診された症例が国家projectに闖入する。
いまさら何を言っているのだと、思いの方も多いことであろう。あの方も、この方もアルツハイマーと診断されて、治療を受けている。いつまで診断が杜撰などと言っているのだ!
アルツハイマーがいい加減に診断されているとの指摘に、抗議をしてこられた認知症専門医もいない。自分の診断には揺るぎない自信を持っておられるのであろう。変わった御仁の御託など取り上げるに及ばない!
ここで多くの臨床医が参考にしている、わが国の認知症の権威たちの英知を集めて作り上げられた「認知症疾患 治療ガイドライン2010コンパクト版2012」から、アルツハイマーの診断基準を見てみよう。
わが国独自の診断基準はない。米国精神医学会によるアルツハイマーの診断基準、DSM-Ⅳがルーチンに使用されるべきと推奨されている。
DSM-Ⅳによる診断基準
A. 以下の両方により明らかにされる多彩な認知障害の発現
(1) 記憶障害(新しい情報を学習したり、以前に学習した情報を想起したりする能力の障害)
(2) 以下の認知障害の一つ以上                                              a) 失語、 b) 失行、 c) 失認、 d) 遂行機能障害(計画を立てる、組織化する、順序立てる、抽象化することの障害)
B. 基準A(1)およびA(2)の認知障害はその各々が社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準からの著しい低下を示す
C. 経過は穏やかな発症と持続的な認知機能の低下により特徴づけられる
D.E. Fには鑑別すべき中枢神経系疾患(脳血管性など)、代謝異常症やHIV感染症、物質誘発性の疾患、せん妄、大うつ病性障害、統合失調症等精神病が挙げられている。省略。
さらにNINCDS-ADRDAの診断基準も紹介されている。臨床的な診断基準はDSM-Ⅳとほぼ同じ、この診断基準には脳アミロイドβ蓄積のバイオマーカー(脳脊髄液中のアミロイドβ42の低下、アミロイドPET陽性)そして2次性神経変性や障害のバイオマーカー(脳脊髄液中タウ、リン酸化タウの増加、側頭・頭頂葉の糖代謝低下(FDG-PET)、側頭・頭頂葉の委縮(MRI統計画像処理))も挙げられているが、現時点ではこれらのバイオマーカーや画像診断は診断目的にルーチンに行うべきではないとされている。
アルツハイマーは現在でもなお、主観的な要素が入り込みがちな臨床症状で診断をしなければならない。脳ドッグなどで診断できる類の疾患ではない。丁寧な臨床観察が必須である。早期診断や早期治療をなど軽々に言えないというのが私の現時点での感想。
年寄り特有の嫌味を言っておけば、この診断基準には年齢に対するコメントが完全に抜けている。いち早く高齢社会を迎えるわが国は、加齢現象とアルツハイマーとの鑑別についての基準を作らなければならない。義務であろう。これだけ患者が溢れていれば、世界に誇れる診断基準はすぐにでもできそうな気がする。
そしてガイドラインにはこれらの診断基準はprobableアルツハイマーでは診断感度81%(49~100%)、特異度70%(47~100)、possibleアルツハイマーでは感度93%(85~96%)、特異度48%(32~61%)であると記載されている。
この幅が生まれる理由は、診断基準が出された原著論文を読んでいないから私のような老いぼれ臨床医にはコメントしようがない。ただ世界的に認められてわが国でも採用されている診断基準を使っても、検者によってはアルツハイマーと診断する際に、半分以上過剰に診断したり見落としたりすることがあることだけは自覚しておくべきであろう。
認知症専門医は自信を持ち過ぎのような気がする。
アルツハイマーに、高血圧、糖尿病そして脂質異常症のようなわかりやすい客観的な診断基準がないのがお分かりいただけたであろうか。薬効などとても大きな顔をして患者に説明できない。
薬効紹介に異様な興味を持つジャーナリストがいるのは困ったことである。

by rr4546 | 2014-02-27 17:30 | 医療関係 | Comments(0)
臨床的にアルツハイマーという病気であると診断する前に、脳の中に色々な変化が起こっている。その病変をいち早くキャッチして認知症を診断しようというのが、認知症の早期診断であることを繰り返し書いてきた。
早期診断法はないと私は主張している。ないので、眉唾物があちらでもこちらで提案されて、マスコミにまで取り上げられた方法もある。しかし信頼に足るものはいまだにない。
最近データを改ざんしているとマスコミをにぎわしているJ-ADNIは、健常者、軽度、中程度そして重度認知障害患者の脳の画像検査やバイオマーカーを使って、アルツハイマーの早期診断を確立するための国家projectである。この早期診断の大projectも認知症患者には有益なことはあまりない可能性が高いことを指摘するためにこの項を書き始めた。しかし認知症医療現場には理解できないことばかりがあって、あちらに行ったりこちらに行ったりして、本来論ずべきことをわたし自身も見失っていた。
ADNIなどとハイカラな名前がついていると、超最先端な試みであると誤解しそうである。何のことはない、2004年にアメリカのNIHがアルツハイマーの早期診断のために立ち上げたAlzheimer‘s disease neuroimaging initiative大規模観察研究(頭文字をとってADNI)を3年遅れで2007年にわが国(Japan)でも始めた研究をアメリカに倣ってJ-ADNIと呼んでいるだけである。認知症医療の世界ではやたらと、ADAS-JあるいはSIB-JなどとJをつけた言葉が飛び交う。
いまだに欧米の下をいっていると素直に自己評価しているのであろうか。属国根性が抜けない。何か見慣れない言葉にJが付いていれば、欧米で開発された検査や方法で、わが国には全くoriginalityがない類のものであることは心しておくべきであろう。
これも寄り道ではあるがヨーロッパ諸国に極端な極右政治集団が出現したとの報道に接してかの国の知的レベルもあの程度かとバカにしていた。わが国にも自覚しないまま、右翼と親しい政治家を党首と仰ぐ極右政治集団が一定の国会議員や地方議員を有する状況が生まれていた。軽々に他国の真似をしていると、大変なことになる。
認知症対策も他国に倣うのではなくて、わが国独自の対策を、すべての英知を集めて立てなければならないであろう。
早期診断と言えば、確定診断は正しく行われていると思いがちである。確定診断もかなり杜撰で、データの改ざんを心配するより、認知症診断が正しく行われているかの検証も必要であることも、すでに症例を上げて指摘してきた。
繰り返すが、広く読まれている「私は誰になっていくの?アルツハイマー病者から見た世界」の著者、クリスチーヌ・ボーデンの記憶障害はアルツハイマーに見られる短期体験(エピソード)記憶障害と似て非なるもので、手記全体から診断すればうつ病による仮性認知症と診断するべきであろう。著者自身も発病当初アルツハイマーと診断されていたが、本当は前頭側頭葉型認知症であると告白している。その診断も疑わしい。ホームページに脳全体が萎縮した画像を出しているが。拙著に記載しておいた慢性アルコール中毒からくるウエルニッケ・コルサコフ症候群や、脳血管性で広範な白質病変が特徴的なビンスワンガー型白質脳症もよくアルツハイマーと誤診される。超高齢者の認知障害もアルツハイマーとは明らかに異なった認知障害である。最近神経原線維変化型老年期認知症の症例を経験した。いずれもアルツハイマーと診断されていた。嗜銀顆粒性認知症の臨床的特徴は十分わかっていないが、アルツハイマーと確定診断される認知症のうち数%はこの認知症である可能性がある。そして今回も取り上げる糖尿病性認知症は、低血糖による脳障害と脳血管性脳障害が7-8割占めている。アルツハイマーは20%弱(後述)。アルツハイマーの確定診断もまだ発展段階である。しかし認知症の権威の間でアルツハイマー診断の曖昧さについて真剣に議論されたという話は聞かない。一般医家が安易にアルツハイマー、アルツハイマーと診断するはずである。マスメディアも同じ過ちを犯している。なぜ凡くら医者の指摘を無視しているのだろうか。
先日、糖尿病の講演会で吉岡成人先生が「糖尿病チーム医療の現状と課題」という題でまことに興味深い講演をされた。
老いぼれには内容が濃すぎて、十分理解できなかったので先生に直接お願いして講演に使われたスライドを全部いただいた。講演に使われたスライド66枚をすぐにfileで送って下さった。
その中でデータのねつ造が疑われた最近の論文を紹介しながら、メンデル、ダーウインそしてニュートンという今でも多くの真実を教えてくれる知の巨人たちもデータをねつ造した場合があることをさらりと紹介され、臨床研究の解釈のむつかしさを話された。有効だとの治験データはねつ造をしなくてもいくらでも作り出せるらしい。患者の命に係わることであり心して、臨床研究の論文を読まねばならないことを教えられた。手元にスライドがあるがそのような手品が可能になる理由を私の力量では説明できない。一人でも多くの臨床医が先生の講演を聞かれることを期待する。製薬会社にあまり重宝がられないのが残念である。
講演の中で糖尿病性認知症についても触れられた。すでに先生たちのグループは糖尿病に認知障害を合併した患者の脳血流を測定され、アルツハイマー型認知症タイプの脳血流低下は17%に過ぎないことを明らかにされていた(Miwa et al. Diabetes Re.Clin. Pract  72,142,2006). 私の臨床観察とほぼ一致した成績で、認知症診療は注意深い臨床観察が有効であることを再確認した。
それにしても、認知症の権威が糖尿病性認知症は大部分アルツハイマー型と診断し、アリセプトの効果を検討している。
信頼できる早期診断法を確立するためにも、アルツハイマーと確定診断するためのスキルを磨くことが急務である。
臨床診断がいい加減なので、国家projectに臨床データを改ざんして患者をentryしても胸が痛まないのであろう。改ざんを告発した仲間を変わり者呼ばわりして仲間外れにしそうな流れである。
話は飛ぶが、わが国に極右政党が生まれるのも、権威の周りに群がっていればそれでよしとして、真実を明らかにしようとしないのも同じ精神的な土壌からきている気がする。
認知症医療の最前線にいる医師の意見に耳を傾けると、ボスがお前には二度と大切な話はしないと恫喝をするのであろう。 このような状況は認知症患者にとって残酷すぎる。
聞いた事もない名前の選手がオリンピックででメダルを獲得している。陽の当たらないとところでの彼らの努力に老人は涙している。

by rr4546 | 2014-02-20 22:12 | 医療関係 | Comments(0)
アルツハイマー型認知症を発症した時には、すでに脳の中に老人班ができ、神経原線維が変性し神経細胞が死滅していると考えられている。脳の病変は臨床症状が出現するかなり前からあるのは容易に想像できる。脳は可塑性が強く、障害を受けても見掛けは正常に働くからである。
臨床症状が出現してから、現在使われているアセチルコリンを増やす3種類の薬あるいはNMDA受容体チャンネル阻害薬1種類のいずれかあるいは併用を行っても臨床効果はほとんどみられない。成果が得られていれば認知症のためにG8サミットを開催し、現在進められているような大掛かりな国主導の認知症対策など行う必要はない。
今の治療ではどうもこうもならないので、専門家いやマスコミまでが、認知症の早期診断、いや今では超早期診断の必要性や超早期治療の開発などを叫んでいるのだと思う。現状を正しく憂いて―今の治療では認知症対策にならないと理解してーまっとうなことを論じながら、臨床の現場では、早晩見捨てられる可能性が高い抗認知症薬がじゃぶじゃぶと処方されている。私のようなものには現在の認知症医療がどのようなロジックで進められているのかまったく理解できない。
抗認知症薬が高価であるから文句を言っていると勘違いしている向きもあるようであるが、最近出ている新薬の中では、安いほうである。高価だからと使用を躊躇する類のものではない。もし高価だからとビビッて処方しなければ、医師として義務を果たさなかったとして世間から厳しく糾弾されるであろう。いや医師としてあるまじき振舞いをしたとして、孫にバチが当たったり、枕を高くして寝れなかったりして、大変な重荷を負わされていることであろう。最善の医療を行うのが医師の務めである。
ただ京都府医師会誌か西京区医師会誌のいずれかに書いたが、「権威たちが原子力村や認知症村と呼ばれる村社会を作り、身内だけで通じる話に夢中になって、大惨事を招いたり、現場で働いている私どもを右往左往させたりしている・・・・」
との思いの延長線上で、あれやこれやと認知症医療の現状に異議申し立てをしているだけである。
いやいやJ-ADNIの国家projectが本当に認知症対策になるかについて考えてみたいと岩坪威先生の「Alzheimer病の超早期治療を目指して」の論文を紹介するつもりであった。タイトルを読んで、「超早期治療」という言葉に躓いてしまった。病理学の権威の論文だから、超早期診断と謳ってあれば読んでみたいと思うが。
認知症の早期治療はすでにあったのか。超早期と謳われている以上、早期治療があるのであろう。
結論を先に言うと、現段階では、早期診断も早期治療も信頼できる類のものはない。従ってJ-ADNIいや今はJ-ADNI2の研究が進行中であるが、急いで紹介しなければならないものは何もない。気分がそがれた感じである。
昨年は同郷で同窓の岐阜で急性期病院や介護施設を展開している畏友宇佐美一政先生から、「病院たより」を書いてくれとの依頼を受けた。それから京都医師会そして西京区医師会からも新春随想とのこと、忙しかった。
先週、宇佐美先生から校正用の初校原稿を受け取った。偶然であるが昨年9月群馬で行った「高齢者医療について」の原稿も届き、早速校正を行った。本を出してから、これだけ多くのことを学んだ。嗚呼!
その中で、宇佐美先生の病院たよりは患者さん向けである。校正を済ませて、先生のところで配布が済めば小生のBLOGで紹介する旨のお願いをしておいた。いずれここでも紹介する。
寄稿文を載せる際に小生を紹介してくれている文も添えられていた。約束を違えて申し訳ないが、私の気持ちを的確に書いてくれているので、それを紹介しておきたい。先生フライングを許してくれたまえ。
「泰玄会ニュース春号をお届けさせていただきます。 本号には神戸大学名誉教授寮隆吉博士にご寄稿いただきました。 寮教授は大学時代は血小板機能の制御機構、巨核球の分化、巨核球性白血病そして輸血医学の研究の第一人者としてご活躍で大学退官後は老人問題、特に認知症について深い洞察を加えられ数々の著作を世に出しておられます。 今回は後者につきましてご寄稿いただきました。 寮博士の視点は私達に老人問題という命題につきまして深く考えさせるものがあると思います。お読みいただけましたら幸いです。」

      
by rr4546 | 2014-02-13 15:01 | 医療関係 | Comments(0)

寄り道―丸投げ

春休みに孫たちと過ごすホテルの予約を取るために大層時間を使ってしまった。いつも使っているホテルの予約が取れない。孫たちが気に入っているプール付きのホテルを探すために大層時間を費やした。気が付いたら夕方である。外国人観光客が大挙して押しかけているのだろうか。あるいは景気が良くなって、春休みにシティ―ホテルでゆっくりしようと計画を立てている方が大勢おられるのであろうか。
3月8日には玉造温泉で同窓会、4月11日から3日間は東京で内科学会総会、同窓会は現地の幹事が宿を準備してくれているが、この調子では今すぐにもJTBに駆け込んで交通の便や、宿を確保しなければならない。
「Alzheimer型認知症の早期診断」の続きを、岩坪威先生の「Alzheimer病の超早期治療を目指して(日本内科学会雑誌 100:2089、2011)」を紹介しながら書こうと準備していたが時間切れである。
なぜ、ワーワーガーガーと医学知識を書くのかと怪訝に思っておられる方もおられるであろう。
拙著「疾患から学ぶ高齢者疾患の特徴とその対応」の序文でもふれたが、「医師が頭脳明晰で特別なことをしているのではない。」という延長線上で書いているのを理解していただきたい。高齢者疾患の知識は、医療関係者でなければ理解できない難しいものではない。ただ正しく理解しなければ、とんでもないことを言い出すが。
西京区医師会の会報平成26年新春号に載せた「若者の活躍」の随想はこう締めくくっておいた。
「・・・・・高齢社会を迎える私ども医療関係者は大変な責任を負っていると思う。孫の世代でも行われているとは思えない、現在のじゃぶじゃぶの高齢者医療を世界に誇れるものにするために、私どもは国民とともに知恵を出し合わなければならない。」
丸投げでよいことは何もない。

by rr4546 | 2014-02-06 17:46 | 医療関係 | Comments(0)