医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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「晩節の宝石箱」感想

 先日、中尾實信先生が最近出版された「晩節の宝石箱」を送って下さった。先生は神戸大学第三内科で助教授を務められ、定年前に大学を去り、現在老人病院で老人医療の一線に立って頑張っておられる。先生は血液学領域で素晴らしいご業績を上げておられ、かって同じ大学で働いた関係で、先生がお持ちの当時珍しかったK562という多能性の白血病細胞を譲っていただき、私たちは巨核球性白血病の分化の研究を発展させることができた。先生はあまり口数も多くはなく、学究肌の雰囲気でこちらは勝手に無趣味で研究一筋の方とばかりと想像していた。しかし大学を辞められたころから、青春小説や医療を舞台にした小説、そして茶道を舞台にした歴史小説を発表され始めた。どの本も読みやすく、研究者であった名残りか、医療界、茶道の世界や舞台となる時代背景を、多くの文献を引用しながら学問的検証に耐えられるよう丹念に書きあげられ、描写は詳細を極めていた。かといって読みづらいところはなく、いつも先生の筆力に驚かされていた。渡辺淳一程度の才能をお持ちだと、若くして文壇でデビューしていればかなりの線までいかれたのではと日頃から思っていた。
 先生の作品を読めば読むほど、実際の先生との印象から想像できない、みずみずしい繊細さに驚かされる。軽々にあの人は無趣味な朴念仁、あの人は芸術家肌のロマンチスト、あの人は冷たい人と見掛けで判断することの愚かさを学ばされていた。先生の小説は若々しい情感で溢れ、読んでいて青春時代の多感な時代を思い出す。
 今回の作品は妻をがんで亡くした60歳に手が届く老齢を迎えた医師の物語である。バブル時代の日本や、バルカン半島でのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を舞台にして展開される。金銭欲に踊らされたり、無意味な民族間闘争で殺し合う人間の愚かさを淡々とではあるが鋭く批判的に描きながら、老医師が少年のように多くの女性に恋心を抱く物語である。環境も似ているので、なるほどなるほど頷きながら読み終えた。人を愛することは老年になっても大切なことなのであろう。研究一筋でまじめを絵にかいたような先生がいつまでもみずみずしい情感を失わず、熱い老いを生きておられるのには、心から羨ましく感じた。小生は「老人医療」の本を書き上げる準備に大わらわである。

by rr4546 | 2010-10-16 12:24 | その他 | Comments(0)
京都で隠遁生活していても、いろいろ雑事が舞い込んでくる。10月8日、神戸で行われる講演の司会を引きうけたので、今回は司会のために準備した挨拶文を載せる。
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 では次に大鐘稔彦先生の「孤高のメス」の原作者が語る「日本の医療の昨日、今日、明日」の御講演をお聞きすることにいたします。
 大鐘先生はご紹介するまでもなく、現役の医師でありながら、外科領域の医学専門書や医療現場をモデルにした小説などを数多く上梓されています、Amazonで検索しましたが48点がリストアップされていました。最近は先生の原作になる「孤高のメス」が映画化され、ご存じの先生も多いのではないかと思います。
 大鐘先生との関係ををお話して先生をご紹介したいと思います。実は先生とは小学、中学、高校そして京都の大学の医学部すべてが同窓という、珍しい関係で、大学時代などは文学や人生などについて夜遅くまで語り合った仲であります。その後、先生は外科へ、小生は内科に進み余り接点はありませんでしたが、先生は若くして母校の京大の関連病院を離れ、単身で関東に出かけ一線の民間病院で外科医として獅子奮迅の働きをされました。時々、近況を聞かされていましたが、メスの腕を磨くために当時の名医のもとに忙しい日常診療の合間に出かけ、免許皆伝されるまで通い詰め、メスを磨かれました。自分も腹を切るときには彼にと思っていました。先生は消化器外科がご専門ですが、頭部外傷、肺疾患、泌尿器疾患、婦人科疾患とあらゆる分野の手術をこなされ、まさに神の手を持つ外科医です。優れた外科医だけではなく日本でいち早く、癌の告知、ホスピス、無輸血手術などにも取り組まれ、医療界に一石を投じてこられました。
 彼のこの医療に対する情熱はどこから来るのか、長くなりますが少しお話ししておきたいと思います。「実は先生のお母様は、とても信仰深い方でいられました。信仰と聞くと、独善的になったり、非寛容になったり、戦争するための心の支えだと私ども凡人は思いますが、それは違うのではないか。信仰は弱い人間が心から人を愛し、どのような困難をも愛を基本にして乗り越えるためのものではないか。先生のお母様はまさにそのような方でありました。このお母様のDNAを受け継いだ大鐘先生は、本人は自覚していない様ですが、燃えるような愛の気持を持って医学に取り組んだおかげで、立派な医療人として歩むことができた。そう考えないと彼の超人的な活躍が説明できない。お母様のDNAを引き継いで取り組んだ医療のお話ですので、きっと私たちにも学ぶことが多いのではないかと楽しみにしています。前置きが長くなりましたが、では先生よろしくお願いいたします。

by rr4546 | 2010-10-06 10:41 | 医療関係 | Comments(0)