医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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小杉泰先生
   御机下

 突然のお手紙失礼いたします。先日朝日新聞の書評欄で、先生のご専門分野とは全く違う相川厚著「日本の臓器移植」を取り上げられておられるのを大変興味深く読ませていただきました。日本では臓器移植というと、人の臓器までもらって生きようとする執着の善し悪しが喧しく論じられて、臓器提供を行う人についてほとんど語られないのを以前から苦々しく思っていました。臓器移植は生きたいから臓器を下さいという欲望の上に成り立っているのではなくあくまで臓器を提供してもいいという善意を生かす延長線上に成立する医療です。先生の書評で少なからずの人が臓器移植の本質に目が開かれたのではないでしょうか。
 同時に先週でしたか内藤正典著「イスラムの怒り」の先生のご書評も興味深いものでした。欧米とイスラム社会の衝突に関するご本を紹介しながら、ともすると私たちには別世界の醜い争いであるとの無関心をたしなめて、西洋とイスラムの不毛な摩擦に対して私たちは西洋の過ちの轍を踏まない形の貢献ができるのではないかと論じておられました。西洋とイスラムの文化的な相克に対して他人事あるいは冷やかし半分のような関わりではなく、もっと主体的かつ積極的に関わるべきである。先生のご指摘で世界の問題として西洋と中東の間の文化的、経済的かつ軍事的な摩擦に取り組もうと啓発された若者もいたのではないでしょうか。
 ただ私たちは欧米社会の精神世界をかたち作っているキリスト教や啓蒙主義そしてイスラムについて根本的なところから理解する機会や素養を持ち合わせていません。先生がイスラム学の立場から西洋や中東に住む人々の精神的バックグラウンドを私たちが一層理解できるようこれまで以上にご活躍されるのを心から期待しています。
 なお今回お送りした「一神教的思考様式を学ぶー創世記―」は他人に尽くすことを喜びとする生き方がある。そして臓器移植は他人のために生きることを喜びとする人たちの好意の上に成り立っていることに触れています。同時に西洋や中東の人たちを理解するためには、彼らの肉と血になっている根本思想であるユダヤ教、キリスト教そしてイスラムについて、私たちのような一神教的な考えとは全く無縁な世界に生きる者でも最低限知っておかなければならない基礎知識を入門書の形で書いてみました。彼らの精神世界に無理解のままで彼らの世界の出来事に介入するのは、無関心で知らぬ振りをするより事をこじらせることがあるとの老人の老婆心から出た書物です。
 自然科学の分野で生きてきた者が論ずるにはテーマが大きすぎて今回の企ては無謀だと十分自覚していますが、食わず嫌いや、悪意に満ちた先入観で彼らの精神世界を杓子定規的に論じることからもう抜けださなければならない。世界が小さくなり西洋の人とも中東の人とも共に学んだりともに仕事をする機会が多くなった現在最低限知っておくべきことを、専門的な立場から見れば笑止千万で基本的過ちがあるとのお叱りを覚悟で書き上げてみました。ご一読いただきご意見をいただければ幸甚と思い一冊献本させていただきました。
 京都の夏は格別蒸し暑く厄介なことですが、ご自愛の上益々のご活躍を心からお祈りいたします。

by rr4546 | 2009-07-31 15:48 | 日本人論 | Comments(0)
 ブログで色々な分野の意見を発信していると、思い掛けない人が興味深いご意見を寄せてくださる。先日以下の新しい薬価承認に関する記事を教えてくださった人がいた。
 「 アリセプトのゼリー剤が承認( 2009年7月22日 )
 エーザイは7月22日、アルツハイマー型認知症治療剤『アリセプト』の新剤形となる内服ゼリー剤の国内での製造販売承認を13日付で取得したと発表した。年内の薬価収載を目指し、収載後速やかに発売する。 製品名は、『アリセプト内服ゼリー3mg』『同5mg』『同10mg』。効能・効果は既存製品と同様、『アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制』。高齢者などの嚥下困難な患者の服薬性向上を目的に開発した。水なしで服用できるはちみつレモン風味で、適度な硬さと粘性が特徴。スプーンですくって服用できるため、介護する人にとっても服薬介助がしやすくなるという。日本では、錠剤・細粒剤・口腔内崩壊錠を販売している。内服ゼリー剤の発売は日本のみで、海外での開発は計画していない」。
 アリセプトが市場に出てからもうかれこれ10年弱経過している。今や日本での薬売上高のベストファイブの常連で年間800億円(?)近く売りあげる超ヒット商品である。ただアリセプトが適切に使われているかについては介護や医療に携わっている私のようなものには疑問に思うケースが多いことを繰り返し指摘してきた。しかし小物の意見が大家たちの間で真面目に取り上げられることはない。当り前であるがアリセプトの適正使用について公の場で論じられるようなことは起こらなかった。いずれにせよ、本当に患者に役立っているのか色々疑問に感じている薬の剤形変更の報道で興味を持った。
 アリセプトが現在販売されている剤形で患者が内服に難渋したというようなことは私の経験ではない。水なしで飲めるアリセプト口腔崩壊錠まで準備されていて、最近は口腔崩壊錠アリセプトDを処方することが一般的である。口に放り込んでおけば薬は自然に溶けて吸収される。現在販売されている経口薬としては飲みやすくするための最高の工夫がなされていると言えるであろう。10年弱現在の剤形で多くの患者が治療を受けてきて何も問題が起こらなかった。勿論患者からのクレームは皆無だと思う。臨床サイドから錠剤、細粒あるいは口腔崩壊錠と別な今回認可されたようなゼリー剤の売り出しを求めるような面妖なことはなかったと思う。
しかしエーザイは本年7月にアリセプトの新たな剤形を売り出してもいいとのお墨付きをもらった。頂いたメールを短くまとめればこういうことである。
 一体今回のアリセプトの剤形変更は何を目的にして行われたのであろうか。すでに述べたが医療をする立場からすればアリセプトの剤形変更を求める理由はない。これから書くことが下種の勘ぐりであると非難されることを覚悟でアリセプトゼリー錠問題について論じておきたい。医療費を無駄使いすることがあってはならないと感ずるからである。
 アリセプトの特許は来年切れる。特許が切れた後は後発品(ジェネリック)と言って先発薬より廉価な薬が市場に出回り、膨れ上がり続ける医療費を少しでも圧縮して限られた医療費を適正に使って国民の健康を守ろうとの仕組みが世界中で作られている。日本では特許が切れても多くの医師は高価な先発品を処方することが多いが、アメリカでは特許切れの後は廉価な後発品を使うことが一般的で、限られた医療費の中で医療費を有効に使うことを医療従事者すべてが心掛けていると言われている。先発品の特許切れの前に新しい薬の認可が得られないで日本最大の製薬会社が苦戦しているとの新聞報道を読まれた方は多いのではないだろうか。これからは無尽蔵でない医療費を有効に使う方法が益々求められていくと思う。そういう工夫をしなければ高齢者の増え続ける日本の医療制度は破たんする。
 アリセプトゼリー錠の情報をもらった時先ず思い出したのが、「剤形を変えると特許を延長する」との厚労省の方針が示されたとの先日の新聞報道であった。同じ効能の薬でも形を変えると後発品が販売できる期間を先延べできるということである。このような姑息な形で薬の特許の期間の延長を考える、どの薬を念頭にしているのかなと思っていたら、どうやらその恩恵を受けようとしているのがアリセプトらしいということが今回頂いたメールから読み取れたのである。私には何も情報がないのでこの推測はあくまで下種の勘ぐりに過ぎない。ただE社は胃酸抑制効果を持つPPIという薬はすでに特許期間が過ぎて後発品も売り出されているが、ほぼ同じ効能を持つPPIを後発品の5倍近くの値段をつけて市場に出している会社である。アリセプトの収益を確保するためなら何でもしそうな会社であると私には思えるから、これから書こうとする推測も当たらずとも遠からずの気がする。ともあれ「よき高齢社会のため」のシリーズは高齢者医療を支える経済的な仕組みに対する私の提言で締めくくろうと思っていたが、とんだことで道草することになった。しかしこれから書こうとすることはブラックユーモアを通り越して気味の悪い話である。限られた医療費は一つの会社に都合のいいように使われてはならない。もしこれから書くことが本当であれば、医療費を払う患者は、このような理不尽なことを密室で行った人たちすべてを貴重な医療費を不正に取り込んだと刑事告訴すべきだと考えている。
続く

by rr4546 | 2009-07-27 16:39 | 医療関係 | Comments(1)
星野富弘様
 突然のお手紙で恐縮です。若くして頸椎損傷という大変な事故にあいながら、おおよそそのような悲惨な境遇とは無縁な、心洗われる絵や詩を作り続けられておられる姿から多くのことを学ばさせていただいています。新しい作品が世に出るのをいつも楽しみにしています。
 小生最近「一神教的思考様式を学ぶー創世記」を自費出版させていただきました。本の中でこの世の欲得の充足とは全く違う聖なる世界の喜びがあることを貴殿の生き方を取り上げてたびたび論じさせていただきました。ご一読いただければ幸いと別便で本をお送りさせていただきました。お忙しいと存じますが、ご感想を頂ければ幸甚に存じます。
 ほんの些細な躓きで衝動的な自己破壊行動に走りがちな若者をこれからも励まされる作品を期待しています。暑さも日ごとに厳しくなりますが、ご自愛の上益々のご活躍をお祈りいたします。
                

 同志社大学一神教学際研究センター主催の先生の御講演をたびたび聞かせていただきました。冷戦構造が崩壊した後の主に中東を中心として起こっている戦争は仮想敵をいつも持たざるを得ないアメリカが冷戦に代わって引き起こす代理戦争。イスラム国を自分たちの価値観で後進的と蔑すみ、イスラムへの侮蔑を正当化するための戦争であるとの分析をいつも興味深く聞かせていただいていました。先生がムスリムを虫けらのように扱う人たちに対して激しい憎しみを抱いておられるのが良くわかります。先生は自分はムスリムではなくクリスチャンであることをお断りになって講演を始められますので大層説得力がありました。
 ただ中東のイスラム国の一部は必ずしもアメリカと敵対していません。もしアメリカがキリスト教国で宗教的理念の違いでイスラムへの偏見や差別を持って中東諸国で戦争をしていると解釈すると、サウジアラビアやエジプトやリビアが親米的な態度を取る理由が説明できないように思います。サウジアラビアにもエジプトにもアメリカの経済力や軍事力を盾にした傲慢な思い上がりを苦々しく思っている人たちは多いはずですが彼らはアメリカを敵と呼んでいません。なぜアメリカがイスラム国全体を敵に回す戦争をしていないかに腑に落ちるために、キリスト教徒は信仰上の問題からイスラム国に侮蔑的な態度を取って戦争を仕掛けているとの分かりやすい解釈とは違った別な切り口の理解が必要な気がします。
 イラク戦争はキリスト教とイスラムの宗教戦争であるかのごとくの一般受けはしますがややピント外れの分析をしていると、中東で起こっている欧米と中東諸国やイスラエルとパレスチナの紛争の本当の解決の方向を見つけることが難しいように感じます。
 キリスト教徒がムスリムたちを後進的と蔑む態度が彼らの怒りを生むと考える前に先ずユダヤ教、キリスト教そしてイスラムの違いをよく理解して、ムスリムの怒りの由来をムスリムが持っている信仰世界に求めるのも重要な観点だと思いますがいかがでしょうか。ムスリムの純粋な信仰世界が戦争を招き寄せている。
 日本もかっては紛争の原因を他国に求めて、自らは正しい戦争をしていると聖戦を戦いました。現在の歴史観は日本自身の孤立的な国家神道に支えられた帝国主義的国家運営が若者に特攻攻撃のような聖戦を遂行させたと考えるのが一般的です。ただ今でも日本国は無謬で聖戦を戦わなければならなかったのはアメリカの仕掛けた罠にあったと主張して人気を博している人物も後を絶ちませんが。この言い分はテロリストの言い分と同じです。
 ともあれ中東で行われている自爆テロや世界中で頻発しているアメリカを標的とした爆破テロを祭政一致的な純粋なイスラムの教えー唯我独尊的な狂信を生むのですがーも深く関係していることを書いてみました。そして日本も容易に自己尊大化と他国に対する憎しみに捕らえられて聖戦を企てる精神的風土の中で生きていることも指摘しました。
 長たらしい本ですが先生に是非ご一読いただきご意見が頂きたく献本させていただきました。

by rr4546 | 2009-07-24 17:02 | 日本人論 | Comments(0)

献本と押し売り

 やっと「一神教的思考様式を学ぶ―創世記―」の本ができ上がった。ウィーンの街を背景にしてチェロを弾く少女というおしゃれな絵の表紙と、こむずかしい内容の本との相性を心配していたが、自分で言うのも可笑しいが、なかなか見栄えのいい本ができ上がった。清々しいグリーンを基調とした色が普通の単行本より大きなA4サイズで453頁の分厚い本にぴったり。
 早速絵を提供して下さった稲本康彦先生・玲子様ご夫妻にお届けした。お二人が心から喜んで下さったのが何より嬉しい。一段落したら「医療の落とし穴」、「受精卵診断」、「薬害」、「高齢者医療」など医療に関する本と「アメリカ留学日記」、「出会った人々」など身辺雑記の本を出す心積りをお話しして、その際も表紙の絵をよろしくとお願いしておいた。お二人とも年齢や経済的状況を考えればこれから二冊の本を世に出す余裕などないはずと、私の高揚した気持ちを笑っておられたが、本人は至極真面目だから困ったものである。身内の者は、年寄りの道楽もほどほどにしてささやかな蓄えは老後を何とか生きていくために残してもらいたいと愚痴を言っている。その台所事情もよくわかるので実際のところこれが最後の浪費となるであろう。
 自費出版にせよ本という形にすると、一人でも多くの人に読んでもらいたいという思いがふつふつと湧き上がってくる、不思議なことである。しかし小さい出版社からの自費出版。書店に並ぶことはない。ISBNを978-4-9904795-0-3C0014と取得して定価3200円を付けているので、Amazonに手続きをすればlist upできるがAmazonを介して注文が舞い込むと妄想するほどボケていない。取り敢えず引用させて頂いた先生や読んでもらいたいと思う先生方に献本を始めた。
 宗教関係の方々として、先ず雨宮慧、野本真也、関根清三、芦名定道先生、高田信良先生と熱心に活躍しているミッションスクールの教務担当者、そしてキリスト教の知恵で文筆活動をしていると私が思う長部日出雄(マックス・ヴェーバーなど)、加賀乙彦氏。イスラム学者塩尻和子、小杉泰氏。日本仏教を一神教的信仰の知恵で読み解いて多くの業績を上げておられる仏教学者末木文美士先生。批判的に取り上げた臨済宗の禅僧玄侑宗久和尚。日本を考えるために多くの示唆をいただいた小安宣邦先生、小島毅先生、原武史先生、加藤陽子先生。そしてたびたび言及させて頂いた詩人で画家である星野富弘氏。アメリカ政治の専門家である阿川尚之先生、久保文明氏。人間の悪について私と同じような問題意識を持ち、その克服について考えて、エロ本、ミステリーそして香り高い文学のいずれでも超一流の腕を揮っている村上春樹氏。他にアメリカ大使館、イスラエル大使館の広報部。朝日新聞・毎日新聞編集部。住所の調べようのない方がいるが手紙を添えて一冊一冊送り出している。返事を頂いた先生方がいれば小生の手紙をこのブログでアップしたい。私の本の解説にもなると思う。ただ経験的に小生のような名もなき一般人は返事を頂くことはないが・・・・。
 他に暑中見舞いに以下の文を添えて先輩、友人そして後輩に押し売りをしている。
 「孫たちのためと書き貯めた『一神教的思考様式を学ぶ―創世記』(A-4―452頁)を有限会社新生から自費出版しました。定価は3200円です。本来は献本すべきですが、孫たちの学費のために押し売りをしています。是非ご一読をお願いいたします。 『新生  FAX075-491-4867』か『shinsei@car.ocn.ne.jp』宛てのメールでご注文をお願いいたします。郵送料は新生負担で本をお送りいたします。」
 有り難いことに思い掛けない先生方が注文して下さる。しかし広く読まれる気配は勿論ない。

by rr4546 | 2009-07-20 18:16 | 日本人論 | Comments(3)