医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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自爆テロー辞意表明

 私は安倍晋三氏の著書である「美しい国へ」を読んで、彼が国民から選ばれる主権者(リヴァイヤサン)と使命感だけで生きているテロリストの区別ができていないことを見出し、彼の目指す国家は上下関係がはっきりした江戸時代の儒教国家か、戦前の国家神道をもとにした軍国主義国家でしかないであろうとこのBLOGで以前に指摘しておきました。
 安倍総理が民主主義の基本的理念を全く理解していないという私の印象は今回の一連の騒動から正しかったと、残念ですが改めて確認しました。
 国の主権者は国民の多数によって選ばれます。参議院選挙での自民党の大敗は現政権の継続に対する国民からの反対の意思表示と考えるべきでしょう。しかし彼は「改革を止めてはならない」と言う使命があるからと、民意を無視して総理の座を降りませんでした。 民主主義のリーダーが国民の意思より、個人的な使命を優先しました。リヴァイヤサンは自分の判断を唯一の正しい基準とするのではなく、人に仕えることに喜びを見出した人のはずですからね。自分勝手なことばかりをしていたと思うより、人様の望むことをしてあげてきたと思うほうが楽ですし、楽しいですね。あなたが嫌なら、あなたの意向を尊重して止めました。職責を放棄したのを人様のせいにしておいた方が機能性消化器障害?ー不勉強でどういう病気か知りませんがーをおこさずに済んだと思います。民主主義社会はテロ社会より、自然体で生きようという人たちの集まりの社会です。
 もう一つ奇妙なことが突然の辞意表明です。私人や独裁者ならともかく公人は私心を捨てて、国民の委託に答える国民の下僕に過ぎないという民主主義の基本的なルールにそぐわない辞意表明だったと思います。第三次安倍内閣を組閣して所信表明演説をした2日後に体調がすぐれないという極めて個人的な理由での退陣表明でしたからね。新しい国造りをする、アメリカとの国際公約を職を賭して果たす。国民に向かって公言した約束は、すべて自分の事情で投げ出してしまいました。やりたいことでやれそうなことならやるが、都合が悪ければ止める。民主主義の中で生きているリーダーではなくてフリーターの振る舞いと酷似していますから嫌になります。自分はだれに権力を与えられていると思っているのでしょうか。自分の使命感だけが唯一の権力の拠りどころと信じ込んでいるとしか思えない。そのためにうまくいかないと見通せばびっくりするくらい無責任に職務を投げ出す。国会の機能を吹っ飛ばしたのですから自爆テロリストの行動と似ていると言えるのではないでしょうか。今日のテレビでは国際協調の中で生きていくしかないわたし達が、首脳外交の場である国連に国の代表者が送れないという国益に反する事態も生み出したということでした。総理とテロリストの心情のどこに違いがあるのかよく判らない。総理は国際社会の価値観を共有していると繰り返していましたが、テロリストと価値観を共有していると言うべきであるように私は感じました。
 みんなで仲良く、誰でもが幸せになれる、楽なのが民主主義であるという私たちのとんでもない誤解を一日も早く克服しなければならない。自由、平等そして人権の尊重を生み出す民主主義は国民は総意を絞って主権者を選び、選ばれた主権者は、国民の安全を守るために最善を払う下僕として働かなければならないというなかなか厳しいことが要求される制度なのです。国民は正しい主権者を選ぶ責任が課せられており、選んだ以上は主権者の命令に絶対に服従しなければならない。国民は知性を磨き、望ましい国のあり方に対してはきりした意見を持つよう日々努力をしなければ民主主義は機能しないのです。主権者の権威は自分の使命感という狭いもので担保されているのではなく、国民の厳しい監視によって支持されてはじめて担保されていることをいつも自覚しておかなければならない。
 私たちが国際社会の一員として生きていこうと願うなら、民主主義の理念を正しく学ぶ時が来ているのではないでしょうか。私たちの選んだ総理がフリーターやテロリストのように行動しても、彼が何も心を痛めていないように見えるのは異常な状況だと思います。勿論志半ばで権力者の地位を投げ出さなければならなかった経緯を恨んでいるでしょうが。いや自分が身を引いたほうが国際公約が果たせると、変な理屈で辞職することを正当化しているのも、民主主義国家では余り見られない光景だと思います。
 私たちは総理以上に責任もなければ、多数の支持を必要としない気楽なところで生きています。当然ですが安部総理より非民主主義的に生きてしまいがちでしょう。
 私たちの国を成り立たせている基本理念である民主主義を真剣に学ぶ時が来ているように思います。 戦後レジームからの脱却は、民主主義の理念を真面目に学ばずに、民主主義国家に生きているとの極楽トンボの錯覚から早く目を覚まして、本当の民主主義の理念を身にまとった現代的で知的な人間に生まれ変わることだと思います。
 それにしても50歳前半の若い政治家が民主主義を本当に理解していないのに、私たちの選んだ政治家たちにかっては広く支持されました。どこに問題があるかよく考えなければ、私たちは新しい出口には立てないように思います。今回の騒動を生んだ根は深いと自分を戒めながら、民主主義の理念を学んでいきたいですね。そのために創世記注解が役立てばうれしい。
 蛇足ですが・・・。安倍晋三氏を無責任極まりない政治家だったと総括して、今回の騒動がおさまって行くでしょう。悪口で一件落着といういつものパターンです。私はそうは思わない。上で言ったこととは矛盾するようですが。真面目で日本のために一身を投げ打とうという志を持っていた人だと思います。ただ自分の権威が自分の使命感ではなくて、国民の総意に基づいているという民主主義の基本のルールを理解していなかったためにややこしいことを招いたということだけはよく理解しておきたい。
 さらに蛇足ですが・・・・。わたし達はテロリストを無辜の民を殺す横着ものだと、悪の権化と考えがちですが・・・。テロリストはわたし達以上に純粋な使命感を持つ人たちであることを忘れてはならないと思います。自分の命を差し出すのですからわたし達のようなやわな使命感を持つだけではとても勤まりません。なぜ民主主義社会は純粋な彼らを犯罪者とするかについてもよく考えておきたいですね。
 

Commented by kawazukiyoshi at 2007-09-14 15:30
安倍青年には民主主義以前の教育が出来ていなかったということでしょうね。
人の心もなんだか分かっていなかったのだとしたら
どこからはじめるのがいいのか躊躇してしまいます。
ここに書かれている大部分のことはよく了解でします。
クーデター騒ぎでも起きなければいいのですが。
今日もスマイル
Commented by 銀河旋風児 at 2007-09-14 23:07 x
辞める前に何でおれのところに相談に来なかったのか、一言相談すれば喝を入れてやったのに、情けない辞め方をしおったわい。

安倍さんは政治家になる前に中学生くらいから勉強しなおして民主主義の仕組みを、もう一回おさらいしたほうが良かっただろうと思う。それとも成蹊小学校・成蹊中学校というところは、社会科を教えていなかったのかもしれない。
首相の職責は重かったけど、議員としての資質もおれには疑問符が残る。

テロ特措法の行方…なぜ必要なのか、何をしているのか、憲法には反していないのかなど素朴な疑問がいっぱいあった。それを説明して理解を得ることもせず、国際公約とぶち上げて辞めていった人は…もう税金泥棒としか言いようがないのでしょう。
Commented by 寮隆吉 at 2007-09-14 23:31 x
本当に銀河旋風児氏のおっしゃる通りですね。テレビを見ていますが、何か根本的なところを置き去りにした議論、コメントばかりで・・・。若者が健全に育たないのではないかと心配になってきます。中味も少しづつ加えています。短いですから読み直してもらえるとうれしいいですね。
Commented by 銀河旋風児 at 2007-09-20 10:57 x
人間のやることにそれほど大差がないし、大きな差が生まれるとしたら積み上げてきたことの差だけだと僕は思っています。昨日のニュースで福田氏は村山談話の踏襲を言明しました。東アジア外交が小泉・安部政権で停止していたのが、日本が隣国と仲良くし、次のステップに移行するための積み上げだと思ってます。

中身の分からない人を、ましてや国民の選良たる議員が選んだ人を、とりあえず期待を持ってみる、手腕を観察するというのも支持の一端になっていたと思います。安倍氏が中国を訪問した時は僕も彼が本気だと感じた一人でした。
Commented by 銀河旋風児 at 2007-09-20 11:10 x
日本人のメンタリティの中で、覇権には従わないけど権威には従いたいという性質があるような気がします。それが王朝交代を伴わない、武士政権が成立していた歴史であると思います。
民主党が、国連中心主義で、国連で承認を受けたことには従う…というのはアメリカという覇権を超えた権威としての国連を考えているのでは…と僕は思ってしまいます。
実際に国際調停機関としての国連は機能していないかもしれないけど、平和を模索する、理想を追求する権威(天皇機関説みたいだけど)として、日本人のメンタリティとしては受け入れたいわけです。

珍説かもしれませんが、この説をちょっと深めて考えてみようと思います。先生との意見交換のうちに、何か考えがまとまるかもしれません。
また、ご意見お願いします。
by rr4546 | 2007-09-14 13:23 | 日本人論 | Comments(5)