医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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認知症国際会議 No22 コウノメソッド No4 コウノ認知症診断学 No2 神経伝達物質分類

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河野和彦博士はコウノメソッドの冒頭部分で「医学会は、新薬のすべてを推奨する倫理観のないキャンペーン団体である。医学会が行われるたびに医療費は高騰する。患者が増えたからではなく学会が医療費を高騰させている。医学会の目的は製薬会社に恩を返すことであり、必ずしも患者優先でないことがある」と、医学会をリードしている権威たちの患者のためという大義名分のもとでの利益相反が疑われる振舞いを厳しく批判している。高齢者疾患の治療、ここでいちいち上げないが、ほぼすべての分野でも河野博士が指摘する事態が起こっているように私には見える。
河野博士も根拠がほとんど示されていない認知症への効能をうたう高額なサプリメントを患者に直販して、患者家族の藁をも掴む気持ちを悪用して、一部の人たちの金儲けに手を貸しているのではないかと思えるフシがある。この論考の後半で彼の治療戦略の問題点も指摘する。そこで時間を割いて「コウノメソッド」に書かれている認知症の診断について論じている。
Alzheimer型型認知症(AD)の早期診断のためのドネペジルチャレンジテストの問題点と胡散臭さを論じた。今回は発症機序(多くの場合まだ仮説段階ばかりではあるが)も障害された脳の部位もほとんど考慮しない、現在ある認知症薬を使うのに好都合な河野和彦博士がすすめる認知症分類について疑問に感ずることを書いておきたい。
コウノメソッドによると認知症は神経伝達物質の異常で分類できるとする。
アセチルコリン欠乏病₌AD
アセチルコリン・ドパミン欠乏症₌レビー小体型認知症
ドパミン過剰病₌ピック病(前頭側頭型認知症)
アセチルコリン欠乏・ドパミン動揺病₌レビー・ピック複合(私にはレビー型認知症あるいはピック病の進行に伴って、レビーに前頭葉の機能の障害が合併してきたか、あるいはピック病の進行に伴って後頭葉の機能の障害が合併してきたというべきだと考える。多分レビー・ピック複合の疾患群も河野博士の造語であろう)。
私の経験ではレビー小体認知症の病理学的特徴であるレビー小体(リン酸化αシヌクレイン凝集物)の出現や、ピック病の病理学的特徴であるタウオパチーあるいはプロテイノパチーの出現もまれであるが、その両者の異常が同時に発症する患者は存在しないとは言わないが、存在しても天文学的レベルの希少さであろう。臨床的に注意を喚起する疾患群とは思えない。レビーはパーキンソン病の亜型の一つだというのが専門家の見解だと思う。
彼の神経伝達物質分類はわかりやすいが、認知症患者を苦しめる臨床症状の丁寧な観察を蔑ろにするだけではなく、安易な認知症薬投与を招くと思う。効果どころか副作用で苦しむ患者を生み出し続ける根拠を与える。
認知症薬の副作用を、認知症症状の増悪と誤診して、現在でも臨床の現場でよく見かける漫然とした認知症薬の投与という悲劇を招き続けるであろう。BPSDの悪化で精神病院に入院している認知症患者が数十万人いるといわれているが、 認知症患者が精神病院に入院しなければ理由は私にはわからない。薬剤惹起性の精神的不穏だけであろう。認知症薬をやめればほぼ全例が、精神科を退院できる。
河野博士自身も認知症治療薬がごく限られたものしかない無念さを、いかにも今ある不完全な認知症薬で対応できると自己暗示をかけるために、この分類を考え出したのではないだろうか。認知症は神経伝達物質の異常で起こるのではなくて、前回も言ったように脳の神経細胞の変性・死滅によって起こっている。アセチルコリンとドパミンは一部の症状を修飾しているだけである。
彼の分類に従うと現在保険診療が認められていない認知症にも認知症薬の投与が勧められるという奇妙な事態を招いてしまう。
可笑しい例を挙げると、ピックはドパミン過剰病と分類しながら、アセチルコリンを上げるガランタミンを推奨したりする。提案した分類も治療に真面目に反映させていない。勿論ピックにガランタミンを投与するのは保険診療上認められていない。誠に無責任な分類である。こういう安易な分類はアホでも認知症医療に携わっていいとの誤解を生む。実際そういうことが起こっている。
また逆にグルタミンソーダ(これも神経伝達物質である)受容体の過剰な活性化を阻害するメマンチン塩酸塩(メマリー)はこの分類に従うと投与の適応がないことになる。
いずれにせよこの分類を刷り込まれた実地医家の一部のアホは、こういう風に考えて認知症薬を投与してよいとの、黄門さまの印籠を持っているつもりで、認知症薬の効果も判定しないで、漫然と投与し続けるであろう。嗚呼!
認知症の分類は障害された脳の機能に基づいて正しくおこなうのが、根治治療薬を手にしていないわれわれの行うべき最低の義務であろう。
認知症の診断のために脳の部位と機能をスライドで示しておく。いやアップできない。
2016年2月13日 寄り道ー高齢者の起こす事故 付記家庭用「認知症の話」BLOGスライド参照。
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by rr4546 | 2017-03-24 18:37 | 医療関係 | Comments(0)