医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

ADASとSIB  抗認知症薬投与で得られる効果のADASによる解析 No1 小田陽彦博士のご指摘追加

それにしても認知症権威たちの認知症薬に対する過剰な信頼と、私のようなしがないヘボ医者の実際の診療で得た認知症薬に対する懐疑とに見られる落差は一体どこから来るのであろうか。
効果は臨床的に観察できない。一方認知症薬投与中に起こるBPSDまがいの不穏、介護拒否、昼夜逆転、易怒性などの、認知症患者を抱える家人を最も苦しめる症状の大部分は認知症薬の副作用であるという見解は拙著を出版した5年前も現在も全く変わらない。投与中に起こる不都合な症状を改善させるためには、まず認知症薬の投与を中止して様子をみることである。
一方、権威たちは相変わらず、認知症薬を止めると病状が急速に悪化することがあるので、投与を軽々に中止してはならないと、各種のガイドラインで脅迫に近い言葉で繰り返している。
その延長線上に、国主導で各地区の医師会が協力して開催する「かかりつけ医認知症対応力向上研修」で、認知症治療についてスライドで示すようなことが講師によって述べられる。そこには効果が何で確認されたかや、副作用について全く触れられていない。認知症薬を投与しないと何か手落ちをしたかのような印象を持つように仕組まれているスライドである。推奨度はすべてグレードAとなっている。その下に強く勧められると念を押している。権威のこの言葉は重い。
患者をしっかりと診ていないのか、治験データのカラクリについて十分理解していないのか、患者のためではなく、何かほかのところに過剰に気を使っているのか、不誠実で不純な動機で、認知症の権威の振りをしていたいだけのような気がして仕方がない。卑しい底意地の悪さを感ずる。医療に携わるためには最低限持っていなければならない大事なものがかけている。若者に悪い影響を与える。嗚呼!このような研修会をいくらしても、受講した当の本人も認知症の理解が深まったと自覚できない。相変わらず素人に毛が生えたような知識で、認知症医療を行っている。研修会後に学んだ気配は全くない。嗚呼!
f0051303_1154359.jpg

お化けが作成したわけではないので、認知症専門医の権威が作成したのであろう。これが全国津々浦々で開催されれば、認知症患者の福音になるというよりは、一層認知症医療現場を荒廃させているであろう。
小田陽彦博士は労を厭わず、私たちが知っておくべき大切な情報を私に教えてくださっている。私のBLOGへのコメントという形で。
アセチルコリンを増やす認知症薬のいかにも効果があるかのADASの成績を示す前に、小田先生のコメントに小題をつけて紹介させていただくこととする。いくら調べてもどの下位項目で改善がみられたのかの詳細な報告に行き当たらない。どうでもいい報告はあるが。おいおい述べる。

抗認知症薬は神経細胞の死滅をくい止めるかどうか?
小田陽彦先生コメント 
実は既に20世紀において、抗認知症薬が神経細胞の死滅をくい止めないとのエビデンスが公開されています。平成11年7月29日付アリセプト審査報告書(#page=8)には以下のように記載されています。
実は既に20世紀において、抗認知症薬が神経細胞の死滅をくい止めないとのエビデンスが公開されています。アリセプト審査報告書(http://www.pmda.go.jp/drugs/1999/g991001/55repo01.pdf#page=8)には以下のように記載されています。

”米国における第II相、第III相試験は本剤投与終了後3あるいは6週間後にADAS-cog等が測定されているが、投与終了後はプラセボ群と実薬群ともに悪化し、24週投与群では中止後6週で差が消失している。”
 抗認知症薬が神経細胞の死滅をくい止めるのであれば、投与終了後にもその効果は残り、プラセボ投与群と実薬投与群の間に差がみられるはずです。差が消失したということは、寮教授の御指摘通り”薬を飲む群と、薬を飲まない群、それは濃いコーヒーを飲んだ群と、水を飲んだ群との間に見られる眠気の違いの類の違い”というエビデンスがあるということです。これを受けて当局は以下のような見解を示しています。
”効能・効果に関して、本薬の効果はアルツハイマー型痴呆の治療ではなく症状の進行を抑制するものであることから、効能・効果を適切な記載とするよう検討を求めたところ、「軽度及び中等度のアルツハイマー型痴呆における痴呆症状の進行抑制」に改められるとともに、効能・効果に関連する使用上の注意に「本剤がアルツハイマー型痴呆の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。」と記載された”
 これが今の添付文書の”認知症症状の進行抑制”という文言の根拠になっています。決して”認知症の進行抑制”ではありません。このネガティブデータをみれば積極的に薬を飲みたいとは思えなくなるのですが、一部の医学者は同じデータをもとに「大変だ。薬を飲むのを止めると認知症の進行が早くなる。できるだけ確実に薬を飲んでもらうのが大切だ」と解説して認知症の人の恐怖心を煽っているのが現状です。

わが国のアリセプトの治験データについての国際的評価
>お前は何を根拠にして現在スタンダードになっている治療方針に異議を唱えているのかを理解してもらうために、認知症薬に臨床的に効果がみられなかったとの治験データをまず示しておく。一薬だけは効果があるような成績を出しているが、他のデータの動きからみると、かなりバイアスの入ったデータのように私には見える。<
小田陽彦先生コメント
 寮教授が指摘されているのは、メマンチン、ガランタミン、リバスチグミンの三剤はことごとく治験不合格なのに、ドネペジルだけは治験合格していることを指しているものと思われます。すなわちドネペジル国内第III相試験だけはかなりバイアスのはいったデータのように見える、というのが寮教授の指摘のように思われます。
 実は、この指摘は寮教授の独自視点ではありません。抗認知症薬の治験データを集めたメタ解析において、著者たちは次のように同試験の異質さを指摘しています(。(http://www.cmaj.ca/content/169/6/557.long) 

"the study by Homma and colleagues was by far the greatest contributor to the heterogeneity and was the only study done exclusively on Japanese patients. Thus, a subanalysis was performed on the white-patient-based studies, which involved 4205 subjects and were not heterogeneous (Table 2).""Efficacy and safety of cholinesterase inhibitors in Alzheimer's disease: a meta-analysis"
 あまりに異質なので解析に使えない、という主張です。著者たちは異質さの原因を人種と推定していますが、実はエーザイは国内試験において、全般臨床症状を測定する際に、主治医にそれをやらせるという手を使いました。主治医は副作用情報等を把握しているので、どの患者に実薬が当たっているかおおよその見当がついています。なので、他の試験では主治医が全般臨床症状を測定するのは禁止したのに、エーザイだけは主治医にやらせたのでした。人種差よりも試験デザインの差が決定的に異質だったのではないかと思います。

ADASの結果の解釈
>お前は何を根拠にして現在スタンダードになっている治療方針に異議を唱えているのかを理解してもらうために、認知症薬に臨床的に効果がみられなかったとの治験データをまず示しておく。一薬だけは効果があるような成績を出しているが、他のデータの動きからみると、かなりバイアスの入ったデータのように私には見える。<
小田陽彦先生コメント
この指摘も寮教授の独自路線ではありません。PMDAはアリセプト審査報告書において以下のように述べています。
"機構は、以下のように考える。海外の抗認知症薬の臨床評価ガイドラインでは、臨床試験において、認知機能に加え、日常生活動作又は全般臨床症状に関する二つの主要評価項目において有効性を示すことが求められており、本邦においても、中核症状である認知機能障害に加え、全般臨床症状又は日常生活動作等、認知機能以外の評価項目でも有効性を示すことが、抗認知症薬の臨床的有用性を示す上で必要である。"
 ADASやMMSEの点数で統計的有意差が出たとしても、それが本当に臨床的に意味があるかどうかは、もう一つの主要評価項目に統計的有意差があるかどうかで推認するしかない、というのが現在の主流の見解です。

アリセプト少量投与の効果
小田陽彦先生のメール
>アリセプトの少量投与で臨床効果がみられなかったわが国の治験の成績があったために、日本での抗認知症薬としての発売が遅れたのではないか・・・・<
小田晴彦先生のメール
 エーザイが日本の規制当局に提出した申請書類によりますと、国内第III相試験が終了したのが1999年で、国内発売は1999年末だったと思われます。詳細は添付しておりますアリセプト申請資料の187p以降をご覧下さい。  日本での国内第I相試験が開始されたのは1989年です。それから2000年まで論文が出なかったのは先生ご指摘の通りアリセプトには見るべき臨床効果が確認できなかったからだと思われます。資料の189-191pに国内治験群の成績が要約されていますが、最後の第III相試験を除いては散々な結果です。治験の用量が1mg, 2mg, 3mgといった少量だったからだと思われます。抗認知症薬の少量投与に効果がないのは治験データから明らかです。症例によっては少量投与が有効な場合もあるでしょうが、それはごく限られた稀な症例だと思います。保険診療で少量投与を認めるべきではないという寮先生の正論に賛同いたします。
寮隆吉教授によると近く発足する「抗認知症薬の適量処方を実現する会」は 抗認知症薬の少量投与を保険診療で認めよと主張するのではないかと推測されています。もしも教授の推測が正しければ非常にまずいことになるのではないかと危惧しています。市販前調査(第2/3相試験)は薬の有効性を調べやすい理想的な患者群を対象にするのに比べて市販後調査は現実の患者群を対象にする違いがあります。なので市販前調査で示された有効性が市販後調査で否定されたり市販前調査でみられなかった副作用が市販後調査で現れることはよくあります。しかし教授の推測通りだと市販前調査で示されなかった少量投与の有効性を市販後の自分たちの臨床経験で示したから保険診療で認めよと同会は主張していることになります。本当にこんな主張をしているのかどうかは全く分かりませんので同会を非難する意図は毛頭ないのですが、市販前調査で示されなかった少量投与の有効性を示すためには医師主導型の治験(第2/3相試験に匹敵する臨床試験)を法律に基づいてやらねばならず、ハードルは非常に高いと言えるでしょう。もちろん市販前調査で示されなかった副作用を市販後調査で示すのはよくあることでハードルは低いのですが。
申請書類は3冊にわかれた膨大なもので、小田先生に頂いた。ご興味のある方にはお送りします。

認知症薬投与の判断
>治験をして治療薬であることを担保した先生方は、臨床的効果が偽薬と比較して認知症薬に有意に認められなかったというデータをどのように解釈されたのであろうか。<
小田陽彦先生コメント
 積極的に薬を使う理由はどこにもない、というのが普通人の解釈だと思います。データをご本人やご家族にお見せすると、そういう反応をされる方が多いです。データを見た上でそれでも薬を試したいとご本人が希望された場合は、薬を試してみる価値はあるかもしれませんが、副作用が疑われた場合は中止しなければなりません。
レミニールとイクセロンの添付文書にはCIBICの各項目の人数とパーセンテージまで記載されていますね。メマリーは平均値とp値だけですが。アリセプトは軽度-中等度ADにはそもそもCIBICをやっていないですね。担当医以外の臨床医を置くのが困難、というのが理由みたいです。
 いずれにしても主要評価項目でプラセボと有意差がなかったというのは添付文書に明確に記載されているので、抗認知症薬を処方する医師にとっては必須の知識だと思います。添付文書記載事項を知らずに処方箋を書くのはいかがなものでしょうか。
コウノメソッドを論ずる前に、ADAS検査で認知症状のどの点で改善がみられたのかあるいは進行が遅延したのかを示す。

小田晴彦博士は自身のFACE BOOKや小生宛の直接のメールで貴重なご意見を述べられている。見落としていた点について11月29日に追加した。引用文献も先生はすでに述べられていた。 

by rr4546 | 2016-11-25 11:54 | 医療関係 | Comments(0)