医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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寄り道 ADASとSIB ADASで得られる有意な効果の内訳 No1 ADASの検査項目

Alzheimer型認知症(AD)患者の症状は短期体験記憶障害だけではなく、時間や場所の見当識障害、失語、失行、失認、物事を計画、組織化し、順序立てて行う遂行機能障害、緩徐な発症と進行性の経過、これらの症状による社会生活や日常生活の障害などがあげられる(認知症疾患治療ガイドライン作成合同委員会:認知症疾患 治療ガイドライン2010版、p225,2010年)。この機能障害の程度や経過をみて、そして鑑別診断を行いADと診断されるが、私の経験ではもっとも重要なのは家人(職場の同僚)の印象と病識の欠如をあげることができると思う(寮隆吉:症例から学ぶ高齢者疾患の特徴とその対応 認知症 p26 2011、金芳堂)。ADと診断された後にも、はっきりと病識があり「普通の人と同じように社会生活を送りたい」などと発言している認知症患者を最近またよく見かけるが、多くの例は誤診か詐病であろう。少なくとも国際的に確立された診断基準を満たしていないであろう。
この類の患者が最近、お化けのように蘇り、主治医と連れ立って「私たちの権利を認めよ」と地区の医師会の勉強会に押しかけてきて、気勢を上げている光景を目にするが、彼らは製薬会社と親しい医師だけではなく、誠実な他施設の専門医に診断をやりなしてもらうべきである。アホらしい光景が繰り返されている。
それにしてもこのような複雑な症状を呈する初期から中程度のAD患者を脳中のアセチルコリンを上げるだけで、うまく治療できると認知症権威たちが平気で声高に言って歩く。しかも大声で。彼らの発言内容は一度まとめておくべきであろう。そう言っている当の本人達はろくに認知症患者を診ていないか―偉くなりすぎて、手間のかかる認知症患者など見ておれない!ー、アリセプト、レミニール、イクロセパン(リバスタチン)の治験データをしっかりと解釈しないで、巨大な製薬会社のご機嫌を無意識にとってしまうという医師特有の習い性が招いた茶番劇かだと思う。
権威たちがよく効くという根拠は治験で得られたADAS-Jの成績に基づいていると推測するが、3種類の認知症薬のADAS-Jのいかにも効いていることを思わせる成績はいずれこのBLOGで公開する。その際にコメントするが、効果があったという領域だけでAD患者がうまくcontrolできているとはとても思えない。いやほとんどの薬がADASのどの領域に効いたかのデータすら示していない。原著論文にも記載がない。嗚呼!
偽薬群より服薬群の進行の程度が緩徐になったかのようなデータも、薬を飲む群と、薬を飲まない群、それは濃いコーヒーを飲んだ群と、水を飲んだ群との間に見られる眠気の違いの類の違いで、アセチルコリンが何らかの脳機能に薬理作用を有していることを示しているに過ぎないように私には見える。アセチルコリンがふえれば脳に何らかの薬理作用があるのは間違いがない。いろいろな領域を検討して点数化すれば、見掛け上偽薬群に比較して服薬群との間に差が出るのは当たり前であろう。その証拠にアセチルコリンに反応する細胞が死滅してしまう中程度から重度ではADASではアセチルコリンを増やす薬は、進行を遅らせる?作用も示すことができない。進行を遅らすということであれば、進行性に死滅していく神経細胞に対してアセチルコリンがこのように働いて、神経細胞の死滅をくい止めているとのエビデンスを示さなければならない。中枢の神経細胞の生き死ににアセチルコリンが効くということなど聞いたことがない。ADASではそれを明らかにできない。3種類の認知症薬のADASのデータを示す際、あらためてわたしなりのADASの成績の解釈を述べる。
今回は日本語版ADAS cog検査がどのような機能を調べる検査であるかの紹介である。
紹介といってもAlzheimer’s Disease Assessment Scale(本間昭 ADAS 高齢者のための知的機能検査の手引き p42、ワールドプラニング,1991)と本間昭他:老年期痴呆の臨床評価法―変化に関する全体的評価とサイコメトリックスー.老年精神医学雑誌 10:p193、1999、からの丸々の引用で、ひき間違いがある今回のものより、引用文献そのものをあたっていただいた方が正解だと思う。
「ADASは記憶、言語および行為に関する認知機能下位尺度と気分状態や行動的変化に関する非認知機能下位尺度から構成される。前者には①単語再生、②口語言語能力、③言語の聴覚的理解、④自発後における喚語困難、⑤口頭命令に従う、⑥手指および物品呼称、⑦構成行為、⑧観念運動、⑨見当識、⑩単語再認、⑪テスト教示の再生能力の11課題があり、後者には、①涙もろさ、②抑うつ気分、③集中力の欠如、④検査に対する協力度、⑤妄想、⑥幻覚、⑦徘徊、⑧多動、⑨振戦、⑩食欲の亢進/減少の10項目がある。
本尺度の合計得点は、0~70点の得点範囲となっている。得点は失点であるため、高得点になるにしたがって障害の程度も重度(原著高度)となる。本尺度では、得点結果から痴呆の重症度を判定するのではなく、継続的な実施によって被験者の認知能力の変化について評価することを目的としている(同上老年精神医学雑誌より)」。
実施に際しての注意事項や評価方法についても詳細な基準が決められているが、今回は割愛。
引き続いてアリセプト、メマリー、イクロセパン投与によって得られたADASのデータを示す。
続く

Commented by 小田 陽彦 at 2016-10-01 23:28 x
 実は既に20世紀において、抗認知症薬が神経細胞の死滅をくい止めないとのエビデンスが公開されています。平成11年7月29日付アリセプト審査報告書(#page=8)には以下のように記載されています。
”米国における第II相、第III相試験は本剤投与終了後3あるいは6週間後にADAS-cog等が測定されているが、投与終了後はプラセボ群と実薬群ともに悪化し、24週投与群では中止後6週で差が消失している。”
 抗認知症薬が神経細胞の死滅をくい止めるのであれば、投与終了後にもその効果は残り、プラセボ投与群と実薬投与群の間に差がみられるはずです。差が消失したということは、寮教授の御指摘通り”薬を飲む群と、薬を飲まない群、それは濃いコーヒーを飲んだ群と、水を飲んだ群との間に見られる眠気の違いの類の違い”というエビデンスがあるということです。これを受けて当局は以下のような見解を示しています。
”効能・効果に関して、本薬の効果はアルツハイマー型痴呆の治療ではなく症状の進行を抑制するものであることから、効能・効果を適切な記載とするよう検討を求めたところ、「軽度及び中等度のアルツハイマー型痴呆における痴呆症状の進行抑制」に改められるとともに、効能・効果に関連する使用上の注意に「本剤がアルツハイマー型痴呆の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。」と記載された”
 これが今の添付文書の”認知症症状の進行抑制”という文言の根拠になっています。決して”認知症の進行抑制”ではありません。このネガティブデータをみれば積極的に薬を飲みたいとは思えなくなるのですが、一部の医学者は同じデータをもとに「大変だ。薬を飲むのを止めると認知症の進行が早くなる。できるだけ確実に薬を飲んでもらうのが大切だ」と解説して認知症の人の恐怖心を煽っているのが現状です。
by rr4546 | 2016-09-23 15:49 | 医療関係 | Comments(1)