医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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寄り道のための付録  アリセプト、レミニール、リバスタッチ(イクロセパン)のCIBIC(CGIC)データ

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Alzheimer型認知症(AD)(いや認知症のほとんどの症例)の治療のために現在広く使われている薬になにをいちゃもんつけているのだと思っておられる方もおられるであろう。実際、認知症の権威も一般医家も患者のためとせっせせっせと処方を切っておられる。すべての認知症薬の売り上げは1千億円は優に超えているであろう。4種類の認知症薬に対して、権威たちは最高の推奨度でお墨付きを与え、認知症薬を積極的に使うことを勧めている。しかし患者に使ってみてもほとんど効果が実感できない。むしろ易怒性、不穏、徘徊、時には傾眠などの患者を困らせる精神症状が出て投与を続けることのできない症例ばかりに遭遇して、私は往生している。そこで私なりに認知症薬の効果をもう一度見直してこの論考を書いている。
お前は何を根拠にして現在スタンダードになっている治療方針に異議を唱えているのかを理解してもらうために、認知症薬に臨床的に効果がみられなかったとの治験データをまず示しておく。一薬だけは効果があるような成績を出しているが、他のデータの動きからみると、かなりバイアスの入ったデータのように私には見える。
ADは実は現在でもはっきりした発症機序がわからない。アミロイドβが蓄積し、神経原線維が変性して神経細胞が死滅すると考えられているが、アミロイドβ仮説に矛盾するデータはいくらでもある。このBLOGで知り合い、直接お会いして懇意にしていただいている神経内科医S先生にアミロイドβ学説ではADの発症を説明できないとの示唆に富んだご意見をいただいている。機会があれば紹介する。またAD患者に見られる記憶障害、場所や時間の見当識障害、失認、失行、遂行機能障害が脳中のアセチルコリン低下だけで引き起こされるとはとても考えられない。まだ発症のメカニズムも、発症後出現してくる認知機能の障害をもたらす脳の中での変化も、現在もわからないことばかりである。
このような現状では認知症薬は臨床的効果があるかどうかで投与するべきかどうかを決めるべきであろう。臨床的効果がはっきりしないうえに、副作用がある薬ー脳中の神経伝達物質を勝手に変化させれば何が起こっても、すべてありであろうーは、患者に余分の負担をかけるので、投与についてはよほど慎重にならなければならない。今回紹介するのはアセチルコリン分解酵素阻害薬の臨床効果を見たデータである。3薬で使われた臨床効果を判定するClinician’s Inteviewed-Based Impression of Changes plus-Japan(CIBIC plus-J)はそれぞれの薬でやり方が少しずつ違うようであるが(アリセプトはClinical Global Impression of Changeの評価、その詳細はこの論考の最後に紹介する。まず3薬のCIBICのデータを見ながらBLOGを読んでいただければありがたい。筆者の意図がよりよく伝わることを願っている。
治験をして治療薬であることを担保した先生方は、臨床的効果が偽薬と比較して認知症薬に有意に認められなかったというデータをどのように解釈されたのであろうか。そのことに触れないで、病で苦しんでいる人たちへの投与を推奨する厚かましさは私の想像を超えている。汚染対策をしないで、生鮮海産物の物流の拠点を稼働させようとした、都の官僚たちの無神経さと何か共通するものがあるように思う。
みるべきものを見ないで、何か別の方向を見ている。実際全国で行われている国主導の医師向けの認知症研修会で、認知症薬の効果は劇的であることが示されている。嗚呼!
CIBICについてはこのBLOGで2月にも論じていた。記憶障害で失念していた。ただ認知症薬を飲むつもりはまったくない。中程度と重度の患者に投与されるメマリーのCIBICとSIBデータを転載しておく。その際の上田陽彦博士のコメントと合わせて読んでいただければありがたい。

Commented by 小田 陽彦 at 2016-09-22 20:12 x
 若干ながら愚見を申し述べます。

>お前は何を根拠にして現在スタンダードになっている治療方針に異議を唱えているのかを理解してもらうために、認知症薬に臨床的に効果がみられなかったとの治験データをまず示しておく。一薬だけは効果があるような成績を出しているが、他のデータの動きからみると、かなりバイアスの入ったデータのように私には見える。

 寮教授が指摘されているのは、メマンチン、ガランタミン、リバスチグミンの三剤はことごとく治験不合格なのに、ドネペジルだけは治験合格していることを指しているものと思われます。すなわちドネペジル国内第III相試験だけはかなりバイアスのはいったデータのように見える、というのが寮教授の指摘のように思われます。
 実は、この指摘は寮教授の独自視点ではありません。抗認知症薬の治験データを集めたメタ解析において、著者たちは次のように同試験の異質さを指摘しています。

"the study by Homma and colleagues was by far the greatest contributor to the heterogeneity and was the only study done exclusively on Japanese patients. Thus, a subanalysis was performed on the white-patient-based studies, which involved 4205 subjects and were not heterogeneous (Table 2)."

 あまりに異質なので解析に使えない、という主張です。著者たちは異質さの原因を人種と推定していますが、実はエーザイは国内試験において、全般臨床症状を測定する際に、主治医にそれをやらせるという手を使いました。主治医は副作用情報等を把握しているので、どの患者に実薬が当たっているかおおよその見当がついています。なので、他の試験では主治医が全般臨床症状を測定するのは禁止したのに、エーザイだけは主治医にやらせたのでした。人種差よりも試験デザインの差が決定的に異質だったのではないかと思います。
Commented by 小田 陽彦 at 2016-09-22 20:13 x
>このような現状では認知症薬は臨床的効果があるかどうかで投与するべきかどうかを決めるべきであろう。

 この指摘も寮教授の独自路線ではありません。PMDAはアリセプト審査報告書において以下のように述べています。

"機構は、以下のように考える。海外の抗認知症薬の臨床評価ガイドラインでは、臨床試験において、認知機能に加え、日常生活動作又は全般臨床症状に関する二つの主要評価項目において有効性を示すことが求められており、本邦においても、中核症状である認知機能障害に加え、全般臨床症状又は日常生活動作等、認知機能以外の評価項目でも有効性を示すことが、抗認知症薬の臨床的有用性を示す上で必要である。"

 ADASやMMSEの点数で統計的有意差が出たとしても、それが本当に臨床的に意味があるかどうかは、もう一つの主要評価項目に統計的有意差があるかどうかで推認するしかない、というのが現在の主流の見解です。

>治験をして治療薬であることを担保した先生方は、臨床的効果が偽薬と比較して認知症薬に有意に認められなかったというデータをどのように解釈されたのであろうか。

 積極的に薬を使う理由はどこにもない、というのが普通人の解釈だと思います。データをご本人やご家族にお見せすると、そういう反応をされる方が多いです。データを見た上でそれでも薬を試したいとご本人が希望された場合は、薬を試してみる価値はあるかもしれませんが、副作用が疑われた場合は中止しなければなりません。
by rr4546 | 2016-09-12 20:16 | 医療関係 | Comments(2)