医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

寄り道の寄り道 認知症薬にまつわる不思議-少量投与

3月30日に「寄り道  副作用を効果と判定している可能性がある症例―抗認知症薬の認可」という雑文をこのBLOGにアップした。わたしは不勉強で、認知症患者に役立てばと、実際臨床で経験した疑問を書きなぐっているが、幸いなことに何の後ろ盾もない私のたわごとにも目を通して下さり、いろいろ貴重なご意見をくださる認知症専門医の先生方が数人おられる。数人!その中でいつも実名で、私が不可解に感ずることに対する答えが書いてある学術的な根拠を教えてくださる先生に小田陽彦先生がおられる。紹介してくださる論文や資料は的を射たものでいつも参考にさせていただいている。教えていただいた情報は臨床の現場に役立っている。ただ論文を完全に読みこなすことができないーもう私は十分歳をとった!ーので十分理解しないまま、先生のご指摘に反したことを言ったり、やったりしているかもしれない。 
3月30日に上記の雑文をBLOGに載せたところ、間髪を入れずに下記に紹介するメールをもらった。
BLOGに対するいつもの短いコメントではなく、私のFACE BOOKのメールアドレスに膨大な資料を添付してご意見を下さった。FACE BOOKでやり取りしている仲間は数人で、FACE BOOKのメールはほとんど開かない。たまたま若い友人が赴任先のノルウェーから春に帰国して、7月に彼の帰国祝いをするためにFACE BOOKのチャットで友人たちと帰国報告会の打合せをしている際に、小田陽彦先生の今回紹介するメールを発見した。数日前のことである。送っていただいて数か月ほったらかしにしていた、さぞ先生は失礼な奴と憤慨されていたことであろう。先生のご意見を今見た経緯を長々と書いているのは、3か月以上も経過した今なぜ紹介するかを知っていただきたいためである。
小田陽彦先生のメール
「面識もないのに突如ご連絡する無礼をご容赦下さい。アリセプト開発の歴史についてブログで書かれていたのでご連絡いたしました。当職は兵庫県立姫路循環器病センター高齢者脳機能治療室精神科医長・小田陽彦と申す者です。2001年03月に神戸大学医学部医学科を卒業しました。老年精神医学会専門医・指導医です。  エーザイが日本の規制当局に提出した申請書類によりますと、国内第III相試験が終了したのが1999年で、国内発売は1999年末だったと思われます。詳細は添付しておりますアリセプト申請資料の187p以降をご覧下さい。  日本での国内第I相試験が開始されたのは1989年です。それから2000年まで論文が出なかったのは先生ご指摘の通りアリセプトには見るべき臨床効果が確認できなかったからだと思われます。資料の189-191pに国内治験群の成績が要約されていますが、最後の第III相試験を除いては散々な結果です。治験の用量が1mg, 2mg, 3mgといった少量だったからだと思われます。抗認知症薬の少量投与に効果がないのは治験データから明らかです。症例によっては少量投与が有効な場合もあるでしょうが、それはごく限られた稀な症例だと思います。保険診療で少量投与を認めるべきではないという寮先生の正論に賛同いたします。  長文失礼いたしました」。
添付資料は3冊あって、一冊目は193ページ、2冊目は185ページ、3冊目は164ページ、すべてPDFファイルに収められている。資料を希望される方はエーザイに請求されれば手に入ると思う。私のパソコンにもある。小田先生の解説を参考に読めば膨大な資料のエッセンスが理解できるであろう。
アリセプトを気楽に処方している先生方でこの資料に当たられてから、患者に処方されている方はおられるであろうか。皆無であろう。製薬会社のMRの説明でわかった気になっている実地医家が大部分であろう。
少量投与の保険適応を認めさせたコウノメソッド実践医の先生方も読んでおられないと思う。読んでいれば恥ずかしくて訳の分からぬ圧力団体を組織するはずがない。認知症を直すなどと平気で言えるわけがない。
それにしても少量投与で効果があるかないかを知らないで、少量投与の保険診療を認めたり、少量投与を認めないエーザイは「医師の裁量権を認めない」ので立ち入りを禁ずると大言壮語する認知症専門医が活躍したりーエーザイが認められないのは少量投与では臨床効果がないとの臨床実験データを持っているからである!-、認知症薬が少量だとか常用量だとか、実際の臨床現場で効果判定もされずにめちゃくちゃに使われているのを知りながら、治療薬としてお墨付きを与えた認知症権威が無言を貫いたり、いや彼らは実際の診療に携わっていないのに、認知症薬のアルゴリズムとかBPSDの対応などのガイドラインを平気で作り続けていたりする現状は異様だとしか言いようがない。全国津々浦々で効果が確認されていない少量投与の保険請求が行われるであろう。効くとの医学的根拠のない薬を飲まされている患者の身にもなってもらいたい。嗚呼!
参考のために3月30日のBLOGの抜粋を再掲しておく。
3月30日の小生のBLOG 抜粋
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドネペジル(アリセプト)はわが国の製薬会社エーザイで1990年代初めに開発された。認知症(アリセプトはAlzheimer型認知症(AD)、最近Lewy小体型認知症にも適応が拡大された)というビッグマーケットをターゲットにした薬で世界に先駆けて開発した製薬会社も喜びに沸いたであろう。実際この薬で莫大な利潤を得た。しかし不思議な経過をたどりわが国の臨床の現場で使われ始めた。
当然開発と同時に臨床効果が検討されたであろう。自国の開発した認知症に有効な可能性がある薬を、認知症に携わるわが国の野心に溢れた治験好きの医師たちが、ほかっておくわけがない。これは研究職に携わったものであれば理解できるが、世界で初めてアリセプトがADの治療薬として有効であるという論文を発表したことで彼の学者としてのステータスは保証される。認知症学会ではボスになれる。
しかし不思議なことに薬の臨床効果が報告されたのは、エーザイが製品を製薬会社ファイザーに提供した1997,8年ころ外国の学術雑誌であった。わが国では2000年になって初めてアリセプトの有用性がADAS-Jなどの評価法の導入によって確認された。多分それまでは期待に反してアリセプトには見るべき臨床効果が確認できなかったのであろう。もし効果があったとしたらその臨床研究はわが国から発信されて、世界の認知症に苦しむ人たちに薬は届けられていたことであろう。残念。
これだけ治験好きの世界に先駆けた仕事をしたい権威が集まっているわが国でアリセプトの薬効の確認が遅れた理由は何であろう。大体事情は推測しているが今回は書かない。そして治療薬として公的に認められるのも、開発したわが国ではなくアメリカであった。製薬会社の努力は、自国の患者にまず恩恵が与えられるはずではないか。
それから立て続けに他の3種類の抗認知症薬の薬効も確認された。これらの研究を主導したのは現在認知症学の権威と認められているH博士である。そのころ痴呆と呼ばれ必ずしも陽の当たる医療領域でなかった分野で地味に臨床研究に取り組んでいたH先生は外国で開発された認知機能テストの翻訳版を学会誌に次々に紹介した。彼の分野では翻訳するだけで学術雑誌に論文が掲載されるらしい。
それらの翻訳論文にさっと目を通すと、患者がどのように改善するかについてはほとんど論じられないで、いかに薬効を見るために有用であるかについて考察されている。薬効は患者に良い効果もあれば、患者に不都合な副作用も含まれるのは言うまでもない。
今回薬効を確認するために各社の学術の人とやり取りしたが、ある会社の担当者が「痴呆という厄介な病気を専門として、およそ製薬会社とも縁のなかった先生たちが、突然治験・治験の仕事やそして時代の要請もあり認知症の講演機会が舞い込み、躁状態になられ、間違いを犯さなかったとは言えないかもしれない・・・」と語っていたのは忘れられない。
アリセプトがわが国に登場した状況を簡単に述べたが、年代とか裏事情の記載について間違ったことを書いたかもしれない。現在手もとに資料がないので気が付き次第訂正する。誤りに気付かれたらご指摘いただきたい。訂正する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一体どうしたらいいのであろうか。一体医療の現場で何が起こっているのであろうか。医療は患者のためにあるのではなくて、医者や製薬会社の儲けのためにあるとの邪な動機が幅を利かせているのであろう。医療費が際限もなく肥大化するはずである。嗚呼!


by rr4546 | 2016-07-08 11:30 | 医療関係 | Comments(0)