医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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寄り道 「認知症のBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン第2版」へのパブリックコメント


日本老年精神医学会が「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬の使用ガイドライン」へのパブリックコメントを求めている。日本老年精神医学会のホームページを尋ねれば、すべての人がその内容を閲覧できる。また改定前のガイドラインは厚労省のホームページで閲覧できる。興味のある方は是非ガイドラインを読まれて、自分が認知症になったときに備えていただきたい。
パブリックコメントであり、自分のBLOGにそのままを載せておく。

パブリックコメント
「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」に対するパブリックコメントを送らせていただきます。
はじめに2013年に出された「BPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第1版)」に対して治療に従事されている実地医家から何か意見が寄せられたことはあるのでしょうか。あるいは患者自身や家族から大変落ち着いて助かったとの感謝の声が寄せられたのでしょうか。
ガイドラインを活用した人は必ずしも多くはなかったようですが、ガイドラインが出たおかげで、実際の認知症医療現場でBPSDがよりよくコントロールできるようになり、患者のQOL(家人の満足度を含めて)が改善されたことを示すエビデンスはあるのでしょうか。
まず初版のどこに問題があったので改訂したかについて具体的に書いていただきたい。どこが最新の情報に基づく改訂なのか触れて頂きたい。このような総括がないと、初版の記述に従って治療を進める一般医家もいたりして、現場は一層混乱すると思います。
どのような経緯と議論のうえで改訂版が出されたのかを知る立場にないものが、 新たに作られた「BPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」にコメントをすればピント外れな、時には失礼なコメントをすることになることもあるのではないかと危惧いたします。
いい機会ですので、日常的に多職種(介護士、リハ職、看護職など)と長期間、時に24時間、多くの認知症患者に接している老健医の立場で第1版と今回の改定版に日頃感じていることを遠慮なくコメントさせていただきます。すでに議論済みであるようなこともあるでしょうがその失礼はご容赦ください。

コメント

1 激しいBPSDは認知症専門医あるいは精神科・救急システムとの連携が推奨されています。
認知症患者を紹介することが勧められている認知症専門医や精神病院でどのような特段の対応が可能であるかを知らせないで、任せよ、判りましたで患者を紹介するような安易な仕組みを作ると、現在の認知症医療現場の荒廃を一層助長させるようになると思います。認知症という長い経過をとる疾患に対して、長く診ていたものが困ったからといって丸投すれば、突然丸投げされたものも適切に対応するのに戸惑うのではないでしょうか。
かかりつけ医がなるべく最後まで患者を診るのを基本とすることを強調していただきたい。患者がいろいろな医療機関をたらいまわしされる現状は患者にとって不都合なことを生み、患者の利益が損なわれています。患者がデイケアを利用していれば、施設との密接な連携こそが求められると思います。その連携こそが、患者にとっても良い結果を生むと思います。
現在でもかなりの数の認知症患者が精神病院に入院していますが、このような異様な状況がますます広がらないような配慮はどこでされているのでしょうか。
是非かかりつけ医ができないことで、専門病院ならできることを具体的に書いていただきたい。もし過剰な抗精神病薬の投与を行うだけでは、入院生活が長引き、進行性の疾患を抱えた患者さんの残された人生を台無しにする可能性が高い。
専門病院や認知症専門医のBPSDの対応についてもかかりつけ医はよく理解しておくべきです。
2 BPSD治療に使われる主な向精神薬について
第1版のガイドラインでは幻覚、妄想、攻撃性、焦燥などのBPSDに対して、4種類の抗認知症薬のいずれかが第一選択の薬として挙げられていたと記憶しています。今回はNMAD受容体拮抗薬(メマンチン)を最初に考慮することが勧められていますがその根拠は何であるかの記載が乏しいように思います。
有効性の説明を見ると「興奮・攻撃性、易刺激性、行動変化・異常行動、妄想に有効であったとの報告が複数あるが、統計学的に有意差を認めなかったという論文もある」。さらに副作用の項を見ると「メマンチンはけいれん、精神症状(激越、攻撃性、妄想、その他の興奮性のBPSD」、めまい、傾眠、転倒、頭痛、肝機能障害、CK上昇、便秘、食欲不振、血圧上昇、血糖値上昇、浮腫、体重減少等に注意する)となっています」。
その上腎障害時には投与量の減量が必要です。このようなBPSDまがいの精神症状を招来する可能性のある薬をBPSDのcontrolのために推奨する理由を私はよく理解できません。
各論でコリン分解酵素阻害薬の有効性がまず述べられていますが、メマンチンを推奨するということであれば、メマンチン、コリン分解酵素阻害薬の順序で有効性を紹介するべきです。慌て者がガイドラインを読み飛ばし、コリン分解酵素阻害薬が第一選択薬と誤解するかもしれない。あるいはメマンチンとコリン分解酵素阻害薬の併用が勧められているとかん違いするかもしれない。
有効性の項でコリン分解酵素阻害薬は抑うつ、意欲低下に効くとする一方、興奮、攻撃性にも有効であるかのような記載があります。コリン分解酵素阻害薬は元気にさせる薬か鎮静させるか薬か「症例ごとに評価する必要がある」と記載されていますが、BPSDのガイドラインでもありコリン分解酵素阻害薬もNMDA受容体阻害薬も薬剤起因性のBPSDを起こす可能性があるとはっきりと記載していただきたい。
疾患本来の異常でBPSDが出現したのか、服薬している抗認知症薬によって引き起こされたBPSDか鑑別は必ずしも容易ではありません。しかし現在のように、かかりつけ医も家人も抗認知症薬を止めたら病状が悪化するとの根拠もあまりない呪文のような言葉に縛られて、投薬中止という適切な選択を行わないで病状を一層複雑にしている例は、認知症医療現場では想像以上に多い(寮隆吉:認知症患者の周辺症状に対する薬物治療―介護老人保健施設での試みー京都医学会雑誌 56:57-62、平成21年6月)。
薬剤起因性BPSDが多いことを、かかりつけ医に周知させるのも今回のガイドラインの使命と考えます。このことが広く啓蒙されれば、認知症医療の現場は現在よりはるかに改善されます。専門医たちが抗認知症薬の限られたわずかな薬効しかないことを知りながら、BPSDのみられる患者の抗認知症薬の中止のデメリットを強調する意図の背景に何か不純なものを感じます。
特にメマンチンは生活機能低下に効果がないとの報告があります(Dysken MW. et.al.ビタミンE摂取で軽度~中程度ADの生活機能低下が遅延 メマンチンでは効果認められずーJAMA 311:33-44,2014)。この程度の効果の薬は副作用が出れば中止するべきです。
有効性に関する項をいくら読んでも、BPSDの治療のために本当に抗認知症薬の投与が必要であるか迷うばかりです。
私の経験ではコリン分解酵素阻害薬のようなアセチルコリンを増やす薬は、焦燥性興奮、易怒性、介護拒否、昼夜逆転、無意味な多弁そして目的のない多動など、一見認知症に合併するBPSDまがいの症状を招来することがよくあります(同上)。
治験のデータでも私が経験するよりはるかに低頻度ですが、同様な精神的活動性亢進を来すことが示されています。
副作用の項で主治医がほとんど注意を払っていない副作用について長々と記載した後に、抗認知症薬で明らかに薬剤起因性BPSDと思われる症状を呈することがあると触れられていますが、このガイドラインはBPSDの適切な対応について書かれたものであり、是非抗認知症薬で引き起こされたBPSDがあることをまず副作用の項で最初に強調していただきたい。
かかりつけ医の多くは抗認知症薬の投与でBPSDまがいの症状が時に引き起こされることをよく理解していません。
かかりつけ医、いや専門医にも抗認知症薬によってBPSDまがいのことが起こることが啓蒙できれば今回のガイドラインを出版した価値が高く評価されると思います。医師として大変な貢献をしたことになります。税金を使って大先生たちが貴重な時間を費やされたのですから。
薬剤起因性BPSDを認知症本来のBPSDと誤診していることが、現時点での認知症医療現場の荒廃を招いている主たる要因だと日頃感じていますのでこの点を強調させていただきました。実際患者家族が抗認知症薬を服用後、焦燥性興奮を来すことがあることを経験して、かかりつけ医に内緒で服薬を中止している例は、先生方が想像している以上に多数に上っています。このような不正常な状況を放置しておくべきではない。
しつこく繰り返しますが、副作用の項の最初に、抗認知症薬の投与によって、薬剤起因性BPSDを起こすことがあると太字で書いて注意を喚起していただきたい。そして投与中にBPSDまがいの症状が出現すれば、抗認知症薬の中止も考慮するべきであると書いていただきたい。
このような単純なことを先生方のような認知症専門医がはっきりと指摘しないために、薬理学的効果を発揮するかどうか疑わしい少量投与が認知症に最も有効な治療であると主張する医師を生み出しているのだと思います。認知症医療現場を混乱させています。
少量投与すれば薬剤起因性の精神的不穏は消失して、認知症が治ったと煽りたてることができます。このような異常な状況を生み出すことのないよう専門医たちは積極的な役割を果たすべきです。
留意点でご丁寧に「減量・中止に関しては進行性疾患であることを鑑み、また中止後に認知機能障害が増悪したとの報告もあることから、専門医へのコンサルテーションおよびご家族の同意の下で行うことを推奨する」となっています。抗認知症薬の効果の客観的評価や副作用が無視されて、ガバガバと投与されているのは、認知症の権威たちが繰り返し、抗認知症薬を中止すると病状の進行が進む、進むと強調することも深く関係しています。かかりつけ医も家人もそのご託宣に自縛されて、副作用を起こしている薬を使い続ける。薬剤起因性BPSDを無視して、抗認知症薬の投与を続ける方が患者のQOLをはるかに損ないます(寮隆吉他:改変センター方式を用いる介護による認知症患者の対応。 京都医学会雑誌 58:71-76、平成23年)。
私の経験では、抗認知症薬の中止で患者が落ち着かれれば、患者自身だけではなく家人からも喜ばれます。
今回は抗認知症薬の効果には触れませんが、製薬会社の出している治験によって得られたデータから抗認知症薬の効果はADASやSIBなど薬効を見るために開発された認知機能テストの中の、実に限られた項目だけに有意な効果がみられるだけです。4薬すべてが医師が直接観察してみる全般臨床症状(J-CGICあるいはCIBIC plus-J)では偽薬と抗認知症薬の臨床効果の差は全くないかわずかであったことが明らかにされています。
認知症は進行性に死滅していく脳神経細胞によって招来される脳機能の不全によってもたらされた症状が主で、脳細胞の死滅をくい止める薬がない状況では病状が進行していくのは避けがたい。脳細胞の死滅を止める薬が開発されて初めて、薬を止めれば病状が進行するといえるのではないでしょうか。
現在の状況では、「減量・中止に関しては進行性疾患であることを鑑み、また中止後に認知機能障害が増悪したとの報告もあることから、専門医へのコンサルテーションおよびご家族の同意の下で行うことを推奨する」という項は削除するのが現時点では最も望ましいと考えます。このような脅しのような呪文は専門医が軽々に使うべきではない。
この呪文のおかげで臨床の現場では抗認知症薬が一体どこに効いているか理解しようとされていない。製薬会社の効果を印象的に示す表で、薬効を確認して、およそ医師とは思えない退廃した知的レベルで抗認知症薬の有効性を信じ込んでいます。この低い認知症医療レベルを高めるのも、このガイドラインの役割だと思います
コリン分解酵素阻害薬やNMDA受容体拮抗薬は脳の神経伝達物質をcontrolして認知機能を改善させようとする対症療法にすぎない。副作用が出ても使い続ける根拠に乏しいと私は考えます。専門医たちは現在ある4種類の抗認知症薬の効果と限界についてもっと誠実に語るべきです。
繰り返しますが、「減量・中止に関しては進行性疾患であることを鑑み、また中止後に認知機能障害が増悪したとの報告もあることから、専門医へのコンサルテーションおよびご家族の同意の下で行うことを推奨する」。このご託宣を認知症専門医たちが呪文のように繰り返すために、抗認知症薬が効果や副作用が十分評価されないままで使われ続けられているといっても過言ではない。権威たちの責任は重いと思います。
2 抗精神病薬(統合失調症治療薬)について
薬剤起因性BPSDの可能性がある症例で薬を中止しないで、治療を続けると抗精神病薬(後述)が大量に必要になって著しくADLを障害します。
実際そのための抗精神病薬が挙げられていますが、かかりつけ医が処方する場合には投与量の上限を設けるべきだと思います。
挙げられたセロトニン受容体・ドパミン受容体遮断薬のうち私が使っているのはリスぺリドンとクエンチアピンです。クエンチアピンの投与量は25~100mgが挙げられています。認知症患者は高齢なうえに脳の神経細胞が変性死滅して認知症障害を発症している例ばかりです。抗精神病薬、例えばクエンチアピンを100mg投与してBPSDをcontrolしても過剰な鎮静を引き起こし、認知機能障害まがいの症状を招来している可能性が高い。12.5~50mgが投与量として守るべき量なのではないでしょうか。
クエンチアピンの投与量が100mgも必要な場合は、服用している薬の見直し、不適切な非薬物療法の実施などを検討してみるべきであると強調するべきだと思います。このようなことに無頓着であることから、ガイドラインが現在、認知症のBPSDの治療に本当に携わっている専門医が作ったのかどうか疑念を抱かれる可能性があります。
認知症患者は高齢であり認知症以外の疾患も有しており、服薬数が多くなりがちです。それに対する注意喚起と同時に、抗精神病薬の服用上限値も専門的な立場から何らかの推奨を行っていただきたい。
高齢者の服薬数はできるだけ減らすべきであるとの高齢者の投薬治療の原則に反するような多種類の薬が紹介されていますが、減薬する努力をいつも求められているとの注意喚起が必要です。
先生方のように長い間、幅広く認知症治療に従事してこられた方が、クエンチアピン100mgと書いても違和感を持たれないことのほうが、しがない老健医には不思議でなりません。
このガイドラインが色々と修正を重ね、認知症という難病で苦しんでいる患者の残された人生が少しでも穏やかになるために使われるのを祈念しています。

Commented by moyuoji at 2016-04-12 16:51
こんにちは。
以前コメント致しましたMOYUU です。
アルツウハイマー型認知症で要介護5、今年98才の父。
2年の更新が3月に有りました。要介護4に下がりました。
松沢病院認知症対応病棟へ入院2回。
退院から2年半、自宅をで介護を決めました。
様々な薬「向精神薬」「整形外科」も含め止めておりました。
時折、騒いだり興奮しますがそれには理由があります。
時間をかけて、落ち着くように付き合っております。
本来ならば要介護3程度しょう。歩行、トイレ、食事、洗面自立です。
あの時、退院を決めていなければ寝たきりです。
「ユマニチュード」
を進めている内科医、精神科医、訪問看護さん達のおかげです。

何時も納得感で拝読しております。変えたいですね✌
MOYYU
by rr4546 | 2016-04-11 11:22 | 医療関係 | Comments(1)