医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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Alzheimer型認知症の早期診断 No12 最後に残されたビッグマーケット No 4 アミロイドPET

早期診断のために最も期待されているのがAlzheimer(AD)発症の引き金となると考えられているアミロイドβの脳への蓄積を検出することである。
J-ADNIでも脳脊髄液中のアミロイドβ量の低下の測定と、アミロイドPET検査が早期診断の重要なツールとして採用されている。
アミロイドβが少々蓄積しても、当初それを示す精神・神経症状は見られない。アミロイドβ仮説によると、アミロイドβが蓄積し始めてから10年から20年たってAD型認知症を発症すると推測されていることは繰り返し紹介している。そこで脳へのアミロイドの蓄積を早期に診断する方法として、脳脊髄液中のアミロイドβ量と脳へのアミロイド蓄積を可視化するアミロイドPETが使われるようになった。
アミロイドPETはアミロイドβタンパクに結合するポジトロン標識の放射性薬剤を用いて脳へのアミロイドの蓄積を検出する方法である。被験者の不利益の一つとしてあげられる放射線の被曝を伴う検査である。
私のような脳の画像診断の門外漢は、アミロイドPETが早期診断の最も信頼できる方法であろうと思い込んでいた。聞きかじりで問題点については触れてきたが。
最近日本医師会雑誌に加藤隆司・伊藤健吾が「認知症におけるアミロイドPET」という総説論文を載せられた(日医雑誌 143:354-355,2014)。
アミロイドPETを臨床的に使用する際に知っておくべきことを2点あげられた。
1 認知症患者のアミロイドPETが陽性であることでADと確定することができない。認知機能正常者や他の神経学的疾患の患者においてもアミロイド病理が存在することがあり、直ちに認知症の原因と結びつけることはできない。(以前、20%くらいの健常者にアミロイド沈着が認められるとの成績を紹介した)
2 アミロイドPETが陰性である場合はADをおおむね除外診断できる。ただバイオマーカーと一致しない場合は判定保留となる。
アミロイドPETが利用可能となったとしてもADの診断はあくまで認知障害の臨床的診断基準に従って行うことの重要性を強調された。私の臨床経験でも納得できる総説論文であった。
画像、遺伝子そしてバイオマーカーは証拠が残るので、データを書き換えるのは行われなかったのであろう。いや行われているのかもしれない。
聞くところによると、ADに特徴的な短期記憶のテスト結果を改ざんして、「記憶障害に問題あり」あるいは「記憶障害以外に障害あり」をかなりの症例で書き換えていたらしい。当事者が何をしたか明らかにしないのでこれらは推測の域を出ない。ただ一番重要なデータを書き換えていたとすれば、犯罪に近い行為であろう。
ADの診断で一番重要な臨床的心理テストでデータの改ざんがあったとすればJ-ADNI研究の成果の信頼が著しく損なわれる。
ADの基礎研究の権威も、「豊富な知識と経験を活かし・・・・」と認知症臨床に精通している製薬会社から派遣された事務局長もADの診断のための臨床的診断基準の重要性についてよく理解していなかったのであろうか。あまりにもやり方が杜撰である。患者のためというよりは、何か別の意図が働いたと勘ぐりたくもなる。
最近血圧、コレステロールなどの正常値を変えると、高血圧患者や脂質異常患者が急増するなどのセンセーショナルな記事が週刊誌などで踊っている。
6月7日号週刊現代に「新薬が出ると、その病気の患者が急増する  高血圧は1.5倍 糖尿病は2倍  高脂血症はなんと5倍」という見出しにも興味を持った。買うのも気が引ける表紙で内容については詳らかではない。今の医療現場を見ているといずれもありそうなことである。
ただ今回のJ-ADNI研究がADの診断基準を曖昧にして、ますますADの医療現場を荒廃させたり、効果もない認知症根治薬がADの発症予防薬として売り出されたりする根拠にされないよう祈るばかりである。
何を一人で憂いていると眉をひそめられる方もおられるであろう。
認知症対策のための地域連絡協議会や認知症家族の会への関わり、そして認知症のマスコミ対策などの製薬会社のやりたい放題を見ていると、一言で杞憂とは片づけられない気がする。
6月12日から日本老年学会が福岡で開催される。私も会員で先日抄録集が送られてきた。一線の認知症現場で頑張っておられる実地医家の認知症は組み安しという講演が数多く計画されている。認知症専門医として生業を立てていて、認知症医療はほとんどなにもすることがありませ。効果も目覚ましいものではありませんと言ってしまっては身も蓋もない。自分が熱心に取り組んでいると、客観的に有効だと評価されなくても、うまくいっていると悪意なく思い込んでしまうのが医者のサガである。ただこんなに楽天的でいいのだろうかと思わざるを得ない。認知症患者は徘徊するだけではない。
勿論メマリーの効果の有無や、J-ADNI研究の改ざん問題や基礎研究への利益相反に当たる可能性が高い製薬会社―エーザイはアミロイドβの産生を阻害するAD根治薬を開発したと会社案内で紹介しているーの関与についての話し合いがどこで行われるか抄録集から読み取ることができない。
患者を丁寧に診ない認知症医療がどんどんと広がって、認知症医療をよくするために何をすべきかの空想話が続けられていくであろう。
目の前の課題を誠実に一つ一つ解決していくのが認知症対策の第一歩である。

by rr4546 | 2014-06-05 23:07 | 医療関係 | Comments(0)