医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

寄り道―過剰な降圧?

高血圧
高齢者の高血圧についてお話しします。高齢者の高血圧は脈圧の開大、血圧の変動、起立性低血圧や食後低血圧、そして朝型高血圧が多いなどの特徴があります(表15、16)。降圧療法はこれらの特徴を踏まえて行わなければなりません。降圧薬には利尿薬、カルシュウム拮抗薬、ACE阻害薬/ARBそしてこれらの合剤などがあります。
日本人は食塩感受性の高血圧が多いということで、入所すればまず一日6gの食塩制限を行います。それでも降圧しなければ食塩を排泄するサイアザイド系利尿薬を選択します。期待する降圧が十分得られなければ昇圧ホルモンの産生を抑制するACE阻害薬を投与します。認知症にはARBがいいなど言われていますが、ACE阻害薬はsubstance Pを増加させて誤嚥を防ぐ効果があるので愛用しています。咳が出る患者もいますが、誤嚥を防ぐ作用の一つだと考えて投与を続けるとほとんどの症例でおさまってきます。それでも降圧が必要な場合はカルシュウム拮抗薬を追加します。他に腎臓保護作用を期待してARBを選択することもあります(表17)。
薬を開始したり変更する場合は一日3回3日間血圧を測定して目標とする血圧が維持できているかを必ずチェックします。同時に降圧薬投与中は臓器血流の低下による認知機能の低下、ADLの低下がないかの注意深い観察が必要です。また過剰に血圧を下げると心血管事故や虚血性心疾患の増悪などがあるとの指摘がされていますので収縮期血圧120mgHg以下そして拡張期血圧60mgHg以下にならないように注意します(表18)。
高齢者の転倒に降圧薬による過降圧による転倒が想像している以上に多いという印象を持っています。表19に93歳の男性で降圧薬服用中に繰り返し転倒し骨折事故を来した症例を示します。高齢者は血圧が変動し目標とするべき血圧を維持するのがむつかしい。表に示したように一日血圧は162/78~95-/55mmHgと変動していました。高齢者は血圧が変動して目標とする血圧を維持するのが難しい。安易に降圧すると転倒事故、時に認知症増悪などを招来することがあることを知っておくべきです。
高齢者の降圧目標はHYVETT(2008)の大規模研究からthe lower、 the betterであると信じられています。しかし歩行速度がゆっくりだと、140/90mmHg以上に維持しないと総死亡率が上がるとの報告や、糖尿病と蛋白尿がある患者は130mgHg未満にすると総死亡リスクが上昇するとの報告があります(表20)。認知症発症後は血圧をやや高い目に維持したほうがいいとの報告もあります。血圧のコントロールも患者の全身症状を考えて行うべきです。下げればいいという単純なものではない。
The lower、the worseの場合があることも念頭に置いて高齢者の降圧療法を行うべきでしょう。
参考のために入所時降圧薬を服用していたが、入所後も必要だった例は22例中6例のみ、後の16例は入所直後に中止できた8例、食塩制限で中止できた8例で臨床の現場では過剰に降圧療法がおこなわれていると思います(表21)。

by rr4546 | 2014-03-06 22:02 | 医療関係 | Comments(0)