医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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よき高齢者医療について No23 認知症の診断と治療まとめ 

(3年前の認知症に対するわたしの考え方である。2015年6月現在はその時より洗練された認知症の診断や治療に対する見解を持っている。症例を重ねるごとに対処方法が改善される)。
高齢者医療現場が荒廃している、じゃぶじゃぶの医療が行われている。孫の世代に今の高齢者医療が行われているとは考えられないなどと指摘しているが、専門医、厚労省、一般医家そして患者から何の反応も全くない。現在の医療でだれもが不満がないのであろう。それはおかしい。
9月にG県で行った講演の原稿が先日送られてきた。講演テープを掘り起こしてくださった。会報に載せていただけるらしい。参考のために見せていただいた会報は高齢者の医療、介護、リハビリに関するアップデートな記事満載で圧倒された。京都の会報などお義理で作った類で、参考にしようという内容は全くない。関わる人たちの志の違いで、このような差が出る。何事もなめてはならないことを思い知らされた。
正式なものは近々印刷物として出来上がる。今の認知症医療について言っておかなければならないことが多く含まれていると思い、一部をここで紹介しておきたい。現在行われている医療も洗練されて、数兆円の医療費の削減ができると思う。
認知症
認知症とは?
認知症はご存知のように、中核症状と呼ばれる障害された脳の働きの異常と、周辺症状(BPSD)と呼ばれる脳の中の情報処理や遂行機能の異常によって出現する不穏、徘徊、昼夜逆転などの二つの症状からなっています(表1)。徘徊などを認知症の特徴と思いがちですがこのような異常は二次的に出現してきたものです。
各種の認知症の鑑別
いろいろなタイプの認知症を理解するためには、まず大まかに脳の働きを理解しておく必要があります。前頭葉は思考・理性・感情など人間特有の高次機能を、海馬は記憶を、後頭葉は視覚の情報を司っています。従って海馬の委縮は体験した記憶をすっぽり忘れる記憶障害、後頭葉が侵されると幻視、普通の人には見えないものがはっきり見えると訴えられます。前頭葉が侵されると脱抑制という理性的な人格が崩壊して万引きなどをします。脳血管性は加齢により脳血管の動脈硬化が進行し、ラクナ梗塞が多発し脳全体の代謝が低下し、これらの症状がまだら模様にみられます(表2)。
これらの認知症を鑑別するためには表3に記載した臨床的な特徴を知っておくとよいでしょう。アルツハイマーは体験した記憶をすっぽり忘れるのが特徴で、元気で取り繕いが上手です。ただ早期から家庭や社会での仕事ができなくなります。アルツハイマーというと物忘れの病気と思いがちですが、私は生活生涯病と考えています。脳血管性は脳梗塞や脳出血発症後に出現してくるボケと考えられていますが、発作が起こればボケが始まるのではありません。私は加齢に応じて見られる、多発するラクナ梗塞、脳血管動脈硬化あるいは脳代謝の低下などの色々な複雑な機序を介して脳機能が侵され、物忘れや、感情失禁、あるいは人格の荒廃がおこるボケを脳血管性の特徴とします。超高齢者のボケはほとんど脳血管性と考えていいと思います。ただ多くは混合型と診断されています。超高齢者にアルツハイマーに見られる病変が合併すれば、認知機能障害の廃絶はもっと悲惨なものになるでしょう。レビー小体型はありありとした幻視、REM睡眠時の寝言、そしてレビーは最近パーキンソン病の一つの亜型と考えられていますので、よちよち歩きなどの歩行障害がみられます。認知機能は変動するといわれていますが、ボケたような振る舞いがありますが認知機能の障害はすくない例が多い。よく診察すると。
アルツハイマー型認知症の経過
アルツハイマーの経過や治療についてお話しします。診断は今までの人格と違ってきたという家人の印象が一番大事です。同じことを聞くようになった、テレビ番組が理解できない、家事の段取りが悪くなったなど。認知機能テスト、空間認知が障害されるので10時10分が書けない、MRIなどの画像診断などにあまり依存すると、誤診のもとになります。病識がありませんので、繰り返しますが家人の印象が一番診断に重要です。
発症はかなり前からと考えられていますが、物忘れや、日常生活に支障が出てからー病気ですので、普通の生活が送れないという症状がなければ、診断してはいけませんー臨床的経過は軽度、中等度そして重度と分類されるように進行し、最後は人物認識や言語的コミュニケーションが障害され赤ちゃんになります。進行性で脳の癌のような病気と家族に説明するといいでしょう(図1、表5)。機能獲得年齢で表現すると、発症時思春期から8歳くらい、中程度になれば5歳から7歳くらい、重度は5歳から3歳そして0歳ということになります。
アルツハイマー型認知症の中核症状の治療
治療は薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法として脳中アセチルコリンを上げる薬(アリセプト、リバスタパッチ、レミニール)とNMDA受容体チャネル阻害薬(メマリー)があります。
認知症は脳中のアセチルコリンが減少して起こるという説に従って、アセチルコリンを上げる薬が開発されました。神経細胞の保護を期待してメマリーが投与されます。しかしこれらの薬の効果判定はADAS-JスコアやSIB-Jスコアなど私たちのような認知症をよく診る医師にもなじみのない認知機能を見る検査で効果が判定されています。しかも100点満点や70点満点で2,3点の違いを有効と判定します(図2,3)。アルツハイマーの進行も様々で、このようなデータは再現性に乏しい可能性があるでしょう。誤診した例が紛れ込めば、容易に効果があるとのデータが出ます。抗認知症薬は投与しても専門医以外は効果あったという実感を持つ臨床医はほとんどいません。マスコミなどに登場する進行しない例は、老年期うつ状態、慢性アルコール中毒患者ばかりですね。
アルツハイマーは物忘れなどの認知機能障害病と考えられていますが、私は正常な生活ができない生活障害病と呼ぶべきだと先ほども言いました。これらの薬がアルツハイマーの生活障害をどのように改善したかを検討するべきです。例えばIADLなどを使って。効果があるという専門医や製薬会社は詐欺まがいなことをしているとの自覚がない。認知症の医療現場は荒廃しています。元気がいいのは専門医ばかりでは悲しいですね。
これらの薬に副作用がなければ、勝手放題に使っていいと思いますが、アセチルコリンは副交感神経の伝達物質で、消化器症状、徐脈などの副作用があります(表7)。その中で私はアリセプトが介護拒否や不穏そして歩行障害などを招来することを繰り返し指摘しています(表8,9)。しかし専門医はアリセプトを投与して怒りっぽくなった群はresponderで我慢して使えば、効果がよりよくみられる。我慢して使えば怒りっぽいのも取れてくるなどいって、アリセプトの投与を奨励しています。自分の頭の中で何が起こっているかを訴えない患者だからだといって、こんな恐ろしいことを勝手に言っている専門医が幅を利かせる医療現場は異常だと思います。いや認知症専門医は認知症のことや薬のことをよく理解していないのだと思います。
NMAD受容体チャネル阻害薬も傾眠傾向やめまいそして興奮作用があります。この薬は中程度と重度に適応があるとされていますが、認知症の中程度や重度に効果があるとのデータを出すことはかなりむつかしいというのが認知症をいつも見ている私の印象です。今秋の認知症学会で老年学のリーダーと目されているT大学の新任のA教授はメマリーには神経保護作用だけでなく血管新生作用もあるとの成績を、ランチョンセミナーで紹介していました。300人近い聴衆はメマリーをどんどん使うことになるでしょう。
最近厚労省からでた認知症のBPSDの治療薬としてメマリーが挙げられています。メマリーの副作用を使って治療せよ。そして効果がなければアセチルコリン分解酵素阻害薬の投与を勧めています。専門医は何を見ているのでしょうか。
認知症の中核症状改善には非薬物学的アプローチが現時点では一番有効です。いろいろ脳を活性化するリハビリはありますが、行動療法、感情刺激・回想療法そして認知機能刺激を組み合わせて思いつくことは何でも取り組むのがいいと思います(表10)。
認知症周辺症状(BPSD)の治療
認知症の根治治療はありませんので、認知症医療は周辺症状(BPSD)をいかにコントロールするかが一番重要になります。やはり非薬物学的療法と薬物療法があり、非薬物学的療法をうまく行うのが基本です。そのためには患者との信頼関係を作ることが重要です(図4)。家族は感情的になってできないと思っておいたほうがいい。私どもはセンター方式と呼ばれる方法を少し変えて、患者の気持ちを読み取るように努力しています。リハビリ、介護など職種の違うものが最低3人で、患者の不安や苦痛・悲しみ、介護への願い、嬉しいこと、悲しいこと快と感じること、やりたいことなどを読み取ります。そして患者の姿をスケッチする。そして問題点を整理して、ケアプランを立てる(図5)。複数でこれを行い患者の気持ちを読み取り信頼関係を築く。
この方法でアプローチし、穏やかになられ認知機能も改善した症例を紹介します。平成18年夏ごろより意味不明な発語や徘徊が始まりました。認知症の診断でアリセプト投与、ますます不穏が昂じて我々の施設に入所(表11)。センター方式で診断の見直し、内服薬の整理、患者の希望に沿うよう対応したところ穏やかになられました。認知症ではなく慢性アルコール中毒によるコルサコフ症候群と診断。実際図7で示したようにHDS-RやNMスケールも大幅に改善しました。認知症のBPSDにはいい介護が基本であることを学び直しました。
薬物療法はまずBPSDの発症機序を考えて対応するのがよいと思います。損傷を受けた脳細胞の働きの環境不適応、健常な脳細胞の異常反応、そして両者の合併の3つがあると今のところは考えています。妄想・幻覚・攻撃性は侵された脳の環境不適応と考え抗精神病薬であるリスパダール、セロクエル、コントミンのいずれかを少量使ってみる。認知症の精神症状はピンポイントに効く抗精神病薬よりいろいろな働きを持つコントミンが有効な印象があります。抗コリン作用の強さも考慮しなければなりませんが。
ただレビーは抗精神病薬に過剰に反応しますので禁忌です。幻視に引き続いておこる精神的不穏当は、リーゼ、時にデパスが有効なことが多い。
易怒性、声出し、這い出しなどは健常な脳の不安などに由来する異常反応と考え、抗不安薬を投与。リーゼが高齢者には著効を呈する場合が多い。時にデパスを。両者の混合タイプとして昼夜逆転があると考えベゲタミン半錠を使います。
精神科に紹介すると、大量の投薬が行われて、廃人のような患者を作り出すので、なるべく内科医が対応するべきです。
アルツハイマーと誤診される症例
続く

Commented by 清水秀男 at 2013-12-12 23:04 x
医療関係者ではありませんが、医師から薬を処方してもらう時、副作用についての説明が無いし、薬局から処方薬の説明書きにも副作用についての記載が無い。 こういった医療は、間違っていると誰も指摘しない。 弊社のお客様から、クリニックに行って、アリセプト或いは、メマリーを処方してもらおうと思っているがどうだろうか、と質問されて、私は医師でもないのでコメントできないが、とことわって、ネットでは副作用の心配が有る、と伝えました。 誰が正常な姿に持って行くのか?
by rr4546 | 2013-11-28 15:59 | 医療関係 | Comments(1)