医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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よき高齢者医療を目指して  No14  高齢者糖尿病治療序

高齢糖尿病患者に厳格な血糖管理を行うと期待に反して糖尿病関連死亡率や脳卒中発症頻度が上昇する、素人の方が不思議に思われる現象があることは、大規模な臨床研究で明らかにされている。高齢者の糖尿病治療はマイルドでいいとのコンセンサンスが生まれつつある。勿論逆な報告もある。
20数年前、40歳後半で肥満の男性糖尿病患者を外来で診ていた。HbA1Cの推移からみると、まーまー血糖はcontrol出来ていたが、腎機能のマーカーの一つであるcreatinineが月単位で上昇し、片手間で診ていては大変と糖尿病専門医に紹介した。一方60代半ばの女性でHbA1Cが10%(JDS)前後と驚くほど高値で、食事療法と治療薬の定期的内服の厳守を口を酸っぱくして言っていた。糖尿病性網膜症、腎障害そして末梢血管障害や神経障害が見られないが、インスリンが必要ではないかと、専門医を受診するよう勧めたが、いつも機嫌よく外来にこられるので気をもみながらfollowしていた。かくの如く小生の少ない経験でも、糖尿病患者の臨床経過は様々で、現在、糖尿病治療は患者毎にきめ細かく治療方針を立てておこなう時代になっている。特に70歳代でよぼよぼしている人もいれば、90歳を超えてもかくしゃくたる人もいる高齢者は一律に目標のHbA1Cを目指す治療は行われないことになっている。
ここまで書いて、酷暑の夏をぼやきながら、至福の時である4人の孫たちとシティーホテルに泊まり、御馳走を食べたり、アミューズメントパークやプールで遊び惚けて、続きを書くのをすっかり忘れていたのを思い出した。記録ずくめの暑さの中で集中力のいる仕事をするには歳を取り過ぎた。嗚呼。
いや、7月25日付きのMedical Tribune Circulation todayの循環器疾患版に、東京都健康長寿医療センターの荒木厚博士と順天堂大学順天堂東京江東高齢者医療センターの小沼富男教授が語ったことを「高齢糖尿病患者対策―低血糖や老年症候群の合併に配慮した包括ケアを」として記者―こういう医療ジャーナリストばかりであればいいのだが、お仕立券付き洋服生地や、ゴルフの誘いを楽しみにしている記者諸氏が多すぎる。あなた方が受け取っている額をはるかに超える不明朗なお金が医療界では動いているーがまとめたものを目にして、私が触れようとした高齢者特有の対応についての多くが書いてあるのを知って、専門外のものが大げさに語るのも気が引けたというのが続きを書かなかった本当の理由である。是非、高齢者糖尿病治療は手ごわいことを記事から読み取っていただきたい。時々低血糖発作を起こすから、砂糖をいつも身に付けるようにとの指示程度では思い掛けない副作用で患者を苦しめることになる。
来週から孫たちも学校に行く。私の言っておきたいことはゼロではない。糖尿病性認知症には、1低血糖による脳障害、2高血糖により引き起こされる血管障害からくる認知症、3アルツハイマー型認知症と糖尿病性血管障害の合併した3種類の発症機序の異なる認知症があること、低血糖を起こさない糖尿病治療の工夫、HbA1Cの値を信頼しすぎて糖尿病治療を行うことの落とし穴について触れておきたい。よき高齢者医療のために。

by rr4546 | 2013-08-22 17:26 | 医療関係 | Comments(0)