医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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よき高齢社会のために  No.29  老人ビジネス No1

 現在日本の人口はおおよそ1億2700万人強、そのうち65歳以上の高齢者は2800万人を占めるので5人に一人が高齢者である。この高齢者率は今後ますます進んで2055年には国民の5人に二人が65歳以上の高齢者となると推計されている。総人口も減少する。それでも元気のいい人というか、能天気な人は純粋な大和民族?からなる国を子孫に残すことこそ自分の役目だと、半世紀も経たぬうちに高齢者が溢れることに目を塞いで大口を叩いている。どうやって食っていくかについて無頓着に意気軒昂だからやれやれである。高齢者同士が傷を舐めあっているような社会をだれも望んでいないと思う。
 これだけ高齢者が増えれば老人相手のビジネスが繁盛するのは致し方ない。アンチエイジングをうたった健康食品そして美容整形をはじめ、わが国の総理大臣も利用した遺産相続税逃れのコンサルタント業と、私のようなものからみるとどうかと思うビジネスばかりが元気である。こういうビジネスで莫大な利潤が得られる社会をよき高齢社会と呼べないと思う。いやそう悪たれをつきながら、健康保健薬をこっそりと飲んでいる私も老人ビジネスの格好の餌食になっている。
 若返りも遺産相続逃れとも無縁な生活を送っているので、それらの老人ビジネスについて論じることはできない。
 見習いたい高齢生活を送っている方を紹介する前に、文句が出そうであるが医療も老人ビジネスになっているという実態の一部に、日常的に接しているので、それについて紹介して、高齢になったらお世話にならなければならない医療機関の賢い利用の仕方について書いておきたい。
 4月9~11日東京で第107回日本内科学会総会が行われた。認定医資格更新だけの出席で、大抵は桜見物をしていたが、2,3興味のある演題も聞いた。会頭講演の「日本人の脳卒中のエビデンス」では、高血圧患者が3000万人いて降圧薬を2,3種類服用している、糖尿病患者は1000万人、糖尿病予備軍を加えると計3000万人、しかし治療を受けているが糖尿病性腎障害で人工透析を受ける患者は年々増え続けているとのこと、日本は冠たる長寿国で健康な人が多いと思っていたらメタボ関連の病人ばかりであることを知ってはいたが、改めて内科学会の会頭から直接聞くとさすがにぞっとした。周りを見ると病人ばかりのような気にさせられ憂鬱になった。これは講演の導入部分。
 会頭得意の本題の講演で、脳ドッグという医療を行っているのは日本だけで、日本のMRI設置率はアメリカの3倍とのこと、病人が多くて余り臨床的に意味のない健康人の脳検査をしていれば医療費が34兆円、いや介護保険料を含めるとゆうに45兆円強となり総医療費は国の国債の利払いを除く総予算に匹敵する金額になるのは致し方ないなと変なことが納得できた。勿論私が本当かいなとびっくりした日本独自の脳ドッグや高いMRI設置率は会頭にとっては日本の医療の充実ぶりを示しているとの自慢になるのだけれど。実際、講演は脳ドッグで得られた成績を中心に展開された。脳の中身を何も病的な神経症状のない人に検査する意義については充分理解できなかったけれど。
 問題は医療費が適正に使われていれば文句を言う筋合いはない。ただビジネスというしかない薬付け、検査漬けが行われているとすれば、私たちはよき高齢社会を迎えるために、医療の受け方について知っておくべきことは多いであろう。
 認知症高齢者を診る機会の多い立場から、認知症治療が適正に行われているのか製薬会社や医療提供者のビジネスになっているのか以前も論じて蒸し返しであるがもう一度論じておきたい。
続く
「認知症の診断と治療のガイドライン」/b>
by rr4546 | 2010-04-20 14:08 | 医療関係 | Comments(0)