医療に関する意見、日本人のあり方に関する意見


by rr4546
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よき高齢者社会のために  No.1 長寿すこやかプラン

 京都市は数年前から高齢者保健福祉行政に力を入れているらしい。本年6月に長寿すこやかプランを立てるワーキンググループの委員を委嘱された。福祉関係を専門とする大学教授や弁護士を始め、医師会、看護協会、理学療法士会、歯科、労働組合などの職域代表者や市民公募の委員から構成される立派な会である。世界のどの国よりも早く高齢社会をわたし達は迎える。色々ハンディキャップを背負う高齢者が豊かな老後を送る、世界の人たちが参考になるモデルを作る義務があると日頃から考えていたので、喜んで委員を引き受けた。
 私が委員を依頼されるまでに、1期から3期と呼ばれる長寿すこやかプランがまとめられていた。第3期の計画書に目を通し今までの議論を整理して、自分の考えをまとめてみた。
 最初に気にかかったのは政策目標である。
1. ひとりひとりが尊厳を保ち、充実した高齢期を実現できるまち
2. 健やかな生活が送れることのできるまち
3. 地域で安心して自立した生活を続けられるまち
4. 高齢者がいきいきと参加でき、すべての世代が支えあえるまち
 高邁な目標が掲げられている。しかしこの政策目標の本文の高齢を若者、妊婦、更年期の婦人と入れ替えてみるといい。どの言葉を挿入してもそれぞれの人のための良いまちつくりの目標になってしまう。高齢者独自のための目標が見当たらないように感じた。過去数年間は、この基本政策のもとで、色々な取り組みが実行されてきたのであろう。
 長寿すこやかと謳う以上、高齢者が心身ともに健やかに暮せる具体策がなければならない。そこで1.世界で最初におおがかりに高齢化社会を迎えるわが国の責務、2.若者と違った高齢者の生き方の確立、若者は自分本位で生きるが高齢者は他者本位で生きる、支えあいやボランティアの仕組みを作る、3.自立して生き方や死に方を考えるライフスタイルの確立などをコンセプトとして私なりの政策目標を考えてみた。
1.世界の人々の模範になる成熟した高齢者の住むまちつくり
2.若者達の目標となる尊厳ある高齢者の住むまちつくり
3.支えあい、助け合い、子ども達に贈り物のできる高齢者の住むまちつくり
4.立派に生きることと同時に立派に死ぬことが語り合える千年の都に住む知恵のつまったまちつくり
 自前の政策目標は、高齢者というところを若者や妊婦と入れ替えると意味不明になるというわけではないが、変な文脈になってしまう。若者に他人本位の成熟した生き方を求めるのは、少し無理があるであろう。若者は若者らしく自分の野心を追求していいように思う。又わが子の誕生に胸を膨らませている人に死ぬことを考えるようにと諭したら何を縁起でもないとお叱りを受けるであろう。
 今まで掲げられてきた政策目標では高齢者の住みやすい町つくのための有効な施策が出てこないのではないか。考えた政策目標を提案しようと準備していた。一回目の会議は8月29日に開催された。8月29日はたまたま老健学会が開催されていて、大会役員としての仕事があったが、高齢者が健やかにという議論も大切だと思い出席した。大部分は介護保険に関連する現状や将来見込みの財政基盤の説明であった。準備したことを発言する機会がなかった。会の様子も大体判ったので、自分なりに考えた政策目標の提案は次回にお預けとした。ただ多くの委員が高齢者の住みやすい町に対する自分なりの具体的なイメージを持っていないのではと気になった。
 第二回目は9月29日午前10時から12時に行うとの連絡があった。残念ながら、医療機関に勤めていると、休日明け(月曜日など)の午前中は、休日中に熱を出したり、お腹を壊した患者の診察でとても、現場を離れるわけに行かない。
 「医療職は月曜日は土曜日・日曜日に容態が変わった患者の診察で現場を離れることができません。残念ですが欠席です」と返事を出した。釈然としないのでいわずもがなと思いながら「月曜日の午前中に会を開くということだけを取り上げても、この会議を実りあるもものにしようとの思いが本当かどうか疑う」と付け加えておいた。
 世界に誇れる高齢社会は、国からの指示を待って、お茶を濁すような対応をしていてはとてもわたし達の手に入らないであろう。市民の総意を絞って、千年の都と呼ばれる街の特徴を生かした施策を着実に実行しなければ、10年先にはこんないい町が出来上がったと振り返ることはできない。色々手を打ったが、代わり映えしないまちのままであったという可能性は否定できない。折角与えられた機会であり、10年先に高齢者の住みやすいこんなまちになったと誇れるよう貢献したいと思っている。ただ私のような奔放な考え方をする者はお役所の方々から煙たがらされそうである。

by rr4546 | 2008-10-08 09:57 | 医療関係 | Comments(0)